人物と発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 14:21 UTC 版)
「エヴァルト・フォン・クライスト (軍人)」の記事における「人物と発言」の解説
ヒトラーに対しての意見表明だけではなく、自らについても「必要以上に謙遜せず言うと、私はフランスで誰よりも活躍した司令官」であると語るなど、率直な物言いをした。 クラウゼヴィッツの『戦争論』を読んでいなかった。自身を「本質的に前線の将軍」とし、関心は「軍事的勝利」であって「理論書を書くことではない」と言いながら、「実はクラウゼヴィッツも読んだことがない」と明かし、「ソ連軍はクラウゼヴィッツをよく読んでいたにちがいなく、私が読んでいなかったのはまずかったかもしれない」と半ば冗談気味に回想している。 ヒトラーについて、異常な点があるとは「思わなかった」とし、ヒトラーの怒りやすさに関しては「私自身ヒトラーの倍ぐらい激しいのだ。ヒトラーが私を怒鳴れば、私は倍の怒鳴り声を返した」として「言いたいことを言わせてしまえば、ヒトラーは落ち着き、寡黙にさえなった」と語っている。また軍事指令と政治指令の違いを指摘し、「軍事命令は従わなければ国家への反逆になる」と軍人の苦悩を「悲劇」と表現した。 ナチ党の人物については「罪のあるのはヒトラーとハイドリヒとヒムラー、そして、ここ(ニュルンベルク収容所)で聞いたようにボルマンだと言いたい」と述べ、リッベントロップには「思想もなにもなく、ほとんど影響力がなかった」とし、ゲーリングについては「死刑に処されるかもしれない立場」なので「不利になるような発言はしかねる」とした上で、「ヒトラーの催眠術的な力で完全に支配されていたのだから、彼もほとんど影響力を持っていなかった」と語っている。ハイドリヒに関しては「犯罪人の中でもっとも悪質だったと思う。私は彼と会ったことがあるが、あの憎しみのこもった目つきはけっして忘れられない」と批判している。 カイテル元帥に関しては、カイテルの署名した国際軍法違反命令を「ヒトラーに追従した愚か者の命令だった」と批判した上で、「私はカイテルをよく知っているが、彼はまともな人間だ。意志の弱い人間をあのような地位につけることによって、ヒトラーが彼を意のままに動かそうとしただけなのだ。もし、私がヒトラーのもとでカイテルと同じ地位についていたら、2週間ともたなかっただろう」と同情を示した。
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