人権侵害と事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 16:38 UTC 版)
2014年6月11日、イラクのモースルにあったトルコ領事館にいたトルコの外交官や軍人、その子どもたち49人が、ISILによって拉致された。のちにイラク人スタッフ3人は解放されたが、トルコ人たち46人は3ヶ月後の9月20日まで拘束されていた。解放後、トルコ人たちは無事に母国へと戻った。この拉致事件の解決には、詳細は不明であるが、トルコの情報機関と軍、警察当局が取り組んだとされる。身代金の支払いは無かったという。 また、同年8月にはイラク内のヤジディ教徒の街を襲い虐殺を図った。その後6000人余の民がISに連れ去られ、多くの女性が「性奴隷」にされていると言われている。 8月19日、拘束していた米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーを斬首し、処刑動画が投稿された。ISILは米軍による空爆への報復と主張している。8月20日、ホワイトハウスはこの動画が本物であると発表した。フォーリー記者の処刑を担当した兵士は、動画の中で英語を話していたが、その発音にイギリスの特徴のあることから、イギリス人の可能性が指摘されている。イギリスの警察などは、身元の調査を開始した。 国連人権理事会でISILの人権侵害を非難する決議が全会一致での採択される 2014年9月に国連人権理事会でISILのイラクでの人権侵害を非難する決議が全会一致で採択された。 だがその後も9月2日に米国人ジャーナリスト、9月13日に英国人の人道支援活動家。10月3日に英国人のタクシー運転手の人道支援活動家、11月16日に米国人の人道支援活動家の処刑映像が配信されているが、処刑された人物は全てオレンジ色の服が着せられている。オレンジ色の服の由来は、イラク戦争後、イラクの旧アブグレイブ刑務所では拘束されたイラク人捕虜がオレンジ色の服を着せられたことに因る。ISILは人質にオレンジ色の囚人服を着せてひざまづかせるという構図によってアブグレイブの報復を示唆しており、ISILの宣伝につなげている。 2014年11月3日、オーストラリアのシドニーで、シーア派の信者が銃で撃たれる事件が起こった。事件前、車に乗った男たちが「イスラム国は永遠」「シーアの犬め」と叫ぶ姿が目撃されており、トニー・アボット首相は、ISIL支持者による犯行との見方を示した。 2015年5月20日、ISILはパルミラを制圧、20人以上の男性の死刑を執行し、パルミラの支配者としての力を示した。パルミラ周辺での処刑は少なくとも217人に及ぶ。 5月27日には、ティクリート近郊で処刑されたとみられる470体のイラク兵の遺体が発見された。ISILは約1700人を処刑したとしており、遺体数は今後増えると思われる。
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