事業体制の変更による経営改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 15:24 UTC 版)
「神戸高速鉄道」の記事における「事業体制の変更による経営改善」の解説
前述のとおり、神戸高速鉄道は地方鉄道法時代と実質的にほぼ同じ経営リスクを有する運営体制を続けてきたが、輸送人員の減少、阪神・淡路大震災による長期の休業等で収入が減少する中、震災復旧や安全対策費用の増加により、収支はさらに悪化することとなった。このような状況の下、経営改善を行うため、資産の保有と借入金の返済に特化した事業体制(すなわち、本来の第三種鉄道事業者としての事業形態)に移行することを決定した。 具体的には、2010年10月1日をもって、以下の措置・手続きがなされた。 山陽電鉄神戸高速線全線(西代駅 - 高速神戸駅 - 元町駅・阪急三宮駅《現・阪急神戸三宮駅》間)と、阪急神戸高速線 新開地駅 - 西代駅間の第二種鉄道事業を廃止。 前日限りで神戸高速鉄道と乗り入れ4社との間で継続していた「業務の管理の受委託」を終了し、「列車の運行管理」と「出改札等の駅業務」については第二種鉄道事業者(阪神・阪急・神鉄)が責任を負う。営業上の(対外的な)路線名も「東西線」「南北線」から各社の「神戸高速線」に改められ、駅員の制服や駅名表示も第二種鉄道事業者のものに改められた。 阪急・阪神の重複区間となる高速神戸駅 - 新開地駅間は阪急の第二種事業の一部を「阪急から阪神への業務委託」の形で阪神が担う。これにより、東西線は阪急三宮駅 - 高速神戸駅間を除き、基本的に阪神の管轄・管理する路線となる。 阪神・阪急・神鉄は神戸高速線内の駅管理運営業務と東西線の列車運行管理業務を阪急の子会社である阪急レールウェイサービス (HRS) に委託し、神戸高速鉄道から転籍したHRSの社員が引き続き業務にあたる。ただし、神戸高速鉄道時代と異なり、駅窓口や券売機では第二種鉄道事業者の切符類を受託販売する形となり、運賃収入も第二種鉄道事業者のものとなる。 その後、HRSへの委託から阪神電鉄の直営に変更され、転籍した従業員はHRSから阪神電鉄へ出向となっている。 これにより同日以降、神戸高速鉄道は定額の鉄道線路使用料を収受し、これにより鉄道資産の減価償却費、借入金の支払利息等の経費を賄い、借入金の償還等を行っている。なお同社はこのとき策定した40年間の長期収支計画(国土交通省認可)に基づいて第二種鉄道事業者(阪急・阪神・神鉄)から定額の線路使用料を収受しており、同計画では支出の大部分を占める減価償却費及び支払利息の漸減に伴い、令和3年度(2021年度)には単年度収支がプラスに転じ、令和31年度(2049年度)には約29億円の繰越利益が見込まれている。 したがって現在では、神戸高速鉄道は、阪神なんば線における「西大阪高速鉄道」や、JR東西線における「関西高速鉄道」と同様、施設の保有・管理のみを行う会社となっているが、阪急・阪神・神鉄は神戸高速線の運賃について、引き続き自社の他路線とは切り離し独立した運賃体系をとっており、スルッとKANSAIのカードに印字される符号もKKのままであると共に、交通系ICカード全国相互利用サービスによって神戸高速線で利用できるPiTaPaやICOCAなどのICカードにおける履歴印字でも「神高」や「神戸高速」となっている。
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