乾杯条例
地酒の普及および地域振興を目的として、地酒で乾杯することを推奨する条例の総称。
2013年1月に、京都府京都市が「清酒による乾杯の習慣を広める」ことを目的として、「京都市清酒の普及の促進に関する条例」を施行したのを皮切りに、日本各地の地方自治体で、乾杯条例を制定する動きが盛んになった。一般的には、居酒屋などでの「最初の一杯」にはビールが選ばれることが多いが、条例が制定された地域の飲食店では、ポスターを貼るなどして、乾杯条例の主旨に沿った啓発運動が行われている。
2013年12月に茨城県笠間市で可決された「地酒を笠間焼で乾杯する条例」のように、地酒と他の名産品を結びつける動きもある。また、同月に可決された鹿児島県の「焼酎文化でおもてなし条例」のように、地酒の普及運動が乾杯とは異なる方向に拡大した例もある。
乾杯条例には強制力がなく、罰則も設けられていないが、条例が個人の自由を制限することを懸念する意見も少なくない。宮崎県都城市では2013年9月に、個人の自由の尊重や酒が飲めない市民への配慮などを理由として、乾杯条例の制定を求める陳情書が不採択となった。
かんぱい‐じょうれい〔‐デウレイ〕【乾杯条例】
乾杯条例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/22 02:51 UTC 版)
乾杯条例(かんぱいじょうれい)とは、日本の地方公共団体の条例の一つで、宴会でその地方の特産の酒等、主に清酒で乾杯することを勧め、それを市民、自治体、事業者それぞれが促進に努めることを旨として地方自治体で公布した条例の総称である。具体的な名称は自治体によって様々である。その地方の特産の酒等の消費拡大と文化の発展を目的とした条例である。
元々、日本酒離れに悩む日本酒造組合中央会が、2004年に「日本酒で乾杯推進会議」を発足させ、その活動の結果として条例が制定された。
日本酒での乾杯条例
2013年1月15日に京都市で「京都市清酒の普及の促進に関する条例」[1]が施行されたのが最初で[2]、これが注目され全国に広がった。拘束力や罰則などはないが、関連する啓発イベントなどが開かれている。
京都の条例の制定後、関連性は定かではないが30年連続で減少を続けていた伏見の清酒の出荷量が増加に転じた[3]。
この成功に触発され、各地で同様の条例が制定された。
「日本酒で乾杯推進会議」によると、2018年時点で140を超える自治体で、地元の日本酒などで乾杯する条例が制定されている[4]。「日本酒で乾杯推進会議」はこれらを成果に2018年に解消し、今後は「日本酒で乾杯推進運動」は日本酒造組合中央会の「國酒の伝統文化継承事業」に吸収して取り組むとしている[4]。
日本酒以外での乾杯条例
地方によっては特産のワインや、焼酎、中には酪農の盛んなところでは牛乳で乾杯という条例[5]になっていることもある[6]。
脚注
- ^ “京都市清酒の普及の促進に関する条例”. 京都市. 2020年10月14日閲覧。
- ^ “乾杯に関する条例”. 条例の動き. 一般財団法人地方自治研究機構. 2020年10月14日閲覧。
- ^ “日本酒で「乾杯条例」、早くも効果! 京都の出荷量30年ぶりに増加 海外ブームも追い風”. 産経ニュース (産経新聞社). (2014年1月20日) 2020年10月14日閲覧。
- ^ a b “「日本酒で乾杯推進会議」解消のお知らせについて” (pdf). 日本酒で乾杯推進会議 (2018年9月10日). 2020年10月14日閲覧。
- ^ “中標津町牛乳消費拡大応援条例(通称『牛乳で乾杯条例』)”. 中標津町. 2020年10月14日閲覧。
- ^ “「乾杯条例」のブーム化”. nippon.com. 公益財団法人ニッポンドットコム. 2020年10月14日閲覧。
外部リンク
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