久女伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 06:38 UTC 版)
久女の波乱に富んだ生涯は、当事者である高浜虚子自身が『国子の手紙』(1948年)の題で小説を描いたのをはじめ、のちにさまざまなフィクションの題材とされた。主な物では松本清張の小説『菊枕』(1953年『文藝春秋』)、吉屋信子の小説『底のぬけた柄杓-私のみなかった人「杉田久女」』(1963年『小説新潮』、『底のぬけた柄杓 憂愁の俳人たち』新潮社、1964年)、テレビドラマでは『山ほととぎすほしいまま』(1964年、RKB毎日放送「近鉄金曜劇場」、秋元松代作、渡辺美佐子主演)、『台所の聖女』(1988年、NHK、田辺聖子原作、樹木希林主演)などである。 女性は家庭にいるのが当然という時代にあって、久女は俳句のために夫や子供をおいてしばしば外出した。直情的な性格だったこともあいまってこれは家庭の軋轢の原因ともなり、不倫の噂なども立てられた。さらに死去した場所が精神病棟だったことから狂死の憶測もたてられる。上述のようなフィクション作品によってこうした「久女伝説」ともいうべきものが喧伝され、久女作品の評価にも影響を及ぼした。 こうした伝説の類は長女の石昌子や増田連の著作、田辺聖子の実録小説『花ごろもぬぐやまつわる・・・わが愛の杉田久女』(1987年)などによって修正されてきており、久女の実像を踏まえ、近代女性俳人の嚆矢としてその作品が評価されるようになっている。
※この「久女伝説」の解説は、「杉田久女」の解説の一部です。
「久女伝説」を含む「杉田久女」の記事については、「杉田久女」の概要を参照ください。
- 久女伝説のページへのリンク