中曽根首相公式参拝訴訟
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「靖国神社問題」の記事における「中曽根首相公式参拝訴訟」の解説
中曽根康弘首相(当時)が1985年(昭和60年)8月15日に公式参拝したことに対する訴訟である。最高裁は、かかる公式参拝は憲法20条3項、同89条に違反する疑いがあるとしたが、本件公式参拝が憲法に違反するとしても、法律上、保護された具体的な権利ないし法益の侵害を受けたことはないし、また、慰謝料をもって救済すべき損害を被ったこともなく、損害賠償を求めることはできないとした。中曽根は首相在任中に10回にわたり参拝しているが、1985年(昭和60年)8月14日に、正式な神式ではなく省略した拝礼によるものならば閣僚の公式参拝は政教分離には反しないとこれまでの政府統一見解を変更し、1985年(昭和60年)に閣僚とともに玉串料を公費から支出する首相公式参拝を行った。 中曽根は1985年(昭和60年)8月15日以後は参拝をしていないが、その理由について翌1986年(昭和61年)8月14日の官房長官談話において、公式参拝が日本による戦争の惨禍を蒙った近隣諸国民の日本に対する不信を招くためとしている。中曽根は後に、自身の靖国参拝により中国共産党内の政争で胡耀邦総書記の進退に影響が出そうだという示唆があり、「胡耀邦さんと私とは非常に仲が良かった。」「それで胡耀邦さんを守らなければいけないと思った。」と述べている。 九州靖国神社公式参拝違憲訴訟 1992年(平成4年)2月28日、福岡高等裁判所は、九州靖国神社公式参拝違憲訴訟で、目的効果基準により公式参拝の継続が靖国神社への援助、助長、促進となり違憲と判示した。 関西靖国公式参拝訴訟 1992年(平成4年)7月30日には、大阪高等裁判所が、関西靖国公式参拝訴訟で、公式参拝は一般人に与える効果、影響、社会通念から考えると宗教的活動に該当し、違憲の疑いありと判示した。
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