世界の養殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 07:53 UTC 版)
1883年に著名な生物学者トマス・ヘンリー・ハクスリーは「タラ漁、ニシン漁、マイワシ漁、サバ漁、そしておそらくすべての海洋漁は無尽蔵である。つまり、我々人間のすることなど魚の数に大きな影響を及ぼすことはない」と述べたが、その後の1世紀で世界の海洋資源は激減し、国連食糧農業機関の推定では流通している主な魚の3分の2は、集団を維持できる以上のレベルで捕獲されていると指摘している。 西ヨーロッパでは、1970年代に進歩し過ぎた漁法による漁業資源の枯渇と、沿岸の無秩序な開発や海洋汚染が問題となった。ムール貝やカキの養殖は18世紀以来の伝統があったが、海洋汚染のために従来の場所が養殖に適さなくなったり、新たな手法を開発する必要に迫られたりした。魚類の養殖は中世以来廃れていたが、環境問題の高まりとともに研究や実践が進みつつある。 カナダ、スカンジナビア、チリではサケ科魚類の養殖が盛んである。養殖魚の成長には温度管理が重要となるが、フランスやカナダでは原子力発電所の冷却水を利用した温度管理でウナギやコイの養殖が行われている。アメリカ合衆国では、流通しているニジマスとナマズのほぼ100%が養殖されたものである。 中央ヨーロッパでは伝統的にコイの養殖が盛んで、中でも南ボヘミア地方のコイは世界的な名声がある。ハンガリーでは、コイとアヒルやガチョウを同じ池で飼うことで家禽類の排泄物でコイを太らせている。似たような方法は中国や中央アフリカなどでも行われている。また、数年毎に池の水を抜き穀類を栽培する輪作を行っている。
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