不法行為の発生場所と裁判、判決への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 03:53 UTC 版)
「懲罰的損害賠償」の記事における「不法行為の発生場所と裁判、判決への影響」の解説
損害賠償を認める法域で不法行為が発生したことを理由とする損害賠償請求事件が日本の裁判所に係属した場合、不法行為の準拠法は結果発生地法であるとして懲罰的損害賠償の可否が問題になったとしても、日本法が認める損害賠償に該当しないので賠償額の上乗せはできない(法の適用に関する通則法17条、22条2項(旧法例11条1項、3項))。例えば、米国カリフォルニア州を不法行為地とする不法行為に係る損害賠償請求訴訟が日本の裁判所に係属した場合、準拠法はカリフォルニア州法となり、日本の裁判所は同州法に基づいて権利の存否を判断することになるが、同州法のうち懲罰的損害賠償に関する部分は適用しない、ということである。 逆に日本以外の裁判所で懲罰的損害賠償を命じる判決が確定した場合、その判決の効力が日本にも及ぶか、具体的には、当該外国判決に基づき日本の裁判所から民事執行法24条の執行判決を得、これに基づいて日本国内にある財産に対して強制執行をすることができるかが問題となる。この点につき日本の最高裁判所は、カリフォルニア州の懲罰的損害賠償制度に基づく賠償を命じた判決の日本国内の効力について、その目的が日本の罰金等の刑罰と同様の意義を持ち日本の損害賠償制度の基本原則と相容れない等として、懲罰的損害賠償としての金員の支払いを命じる部分は日本の公序に反し、(最高裁判決当時に施行されていた)旧民事訴訟法200条3号(現在の民事訴訟法118条3号に相当)の要件を満たさないので、日本の裁判所はこの部分について執行判決をすることはできないと判断した。
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