不法行為法における違法性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 00:42 UTC 版)
日本の民法709条以下に規定されている不法行為において、「違法性」が独立の成立要件となるとする見解もあるが、批判もある。「違法性」は独立した成立要件になるとする見解が通説とされた時期もあり、その影響を受けた国家賠償法では、1条において、「違法に」という文言が用いられている。しかし、1960年代以降、1980年代にかけて、通説に対する批判が強まり、違法性という要件は不要であって、過失の要件に解消すべきとする説(平井宜雄)や、条文どおり「権利侵害」と「故意・過失」の要件の中で考えれば良いとする説(星野英一)、伝統的通説の枠組を維持しつつ、これを改良する説(四宮和夫、澤井裕)、むしろ「権利侵害」「過失」の両要件を違法性要件に解消すべきとする説(前田達明)が相次いで登場した。さらに、2000年代に入って、不法行為法を個人の基本権保護のための制度として再構成する説も主張されている(山本敬三)。他方、裁判例においては、上記学説の動向にもかかわらず、「違法性」という文言が使われ続けている。
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