不正通行の防止目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/07 20:13 UTC 版)
日本の高速道路では、1970年代から主に上下集約式のサービスエリア内における通行券の不正交換や偽装紛失といった手段による不正通行が多く発生した。日本道路公団(当時。以下「道路公団」)による調査では、1985年の推定損失額は40億円超に上るとされている。 このような高速道路における不正通行を防ぐため、道路公団では上下集約式のサービスエリアへの検札所を設置したり、移動検札車を導入して休憩施設内での検札を実施するなどの施策のほか、SA・PA付近の中央分離帯への横断防止フェンスの設置を通じて通行券の不正交換の防止を図ったが、これらの対策には顕著な効果がみられなかった。 こうした背景から、1981年に道路公団は東名高速道路・名神高速道路のおおよそ中間点となる静岡県と愛知県の県境付近、及び中国自動車道の山崎付近の2ヶ所の本線上に検札所の設置を決定し、全ての通行車両を停車させて、適正な通行券を携帯しているかを確認するとともに、本線料金所の通過時刻や進行方向などを通行券に印字して、通行券の不正交換や改竄などによる不正通行を抑止することとした。 これらの本線上に設けられた検札所は「本線料金所(検札)」「チェックバリア(Check Barrior)」と表記された。 その後、通行券システムの更新によって通行券の様式が統一されたこと、ETCの導入とその普及に伴い、通行券を不正交換する手段による不正通行が減少し、いずれの目的についても検札の必要性が低くなったことから、本線上に設置されていた検札所は2007年までに全て廃止されている。 なお、検札所が廃止される背景として、検札所の要員に人件費が掛かり費用対効果に疑問があること、全車が一旦停止させられるために本線上の渋滞の遠因となることなどを挙げる意見もある。
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