上ライン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 01:26 UTC 版)
バーゼルで、ライン川は再び向きを北へと変える。バーゼルからは流れも穏やかになると同時に水量も増え、ここから河口までは3,000トン級の船の往来ができる。そのため、バーゼルはスイス唯一の国際貿易港となっており、スイスの貿易のかなりの部分がこの港を通して行われる。バーゼルはスイス有数の大都市であるがスイス領の北端であり、市街の一部はドイツ領およびフランス領にもかかっている。 バーゼルからはライン川はフランス領のアルザスとドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州との間の国境をなす。この地域はライン地溝帯と呼ばれる構造平野となっており、西のヴォージュ山脈と東のシュヴァルツヴァルトにはさまれた細長い平野の中をライン川は北流していく。バーゼルの少し北で、ライン川はアルザス大運河と接続する。このアルザス大運河はライン川の西に並行して北流し、マルヌ・ライン運河へと接続してパリなどセーヌ川水系水運とつながる。またこの運河はミュルーズでローヌ・ライン運河と接続し、ローヌ川水系へと接続してリヨンや地中海とつながっている。アルザスの住民はドイツ系のアルザス人であり、ライン両岸にドイツ系民族が居住していることになるが、アルザス地方は17世紀以降数度の転変はあったものの、基本的にはフランス領となっている。フランス領のライン沿岸のほぼ中央にストラスブールがあるが、ここは19世紀の河道の直線化によってライン河畔へと広がったフランス領のライン最大の都市であり、フランスのラインへの窓口となっている。カールスルーエの少し南でフランス領は終わりをつげ、ここからは西岸はラインラント=プファルツ州となり、ドイツ領内をラインは流れることとなる。ドイツ領ライン西岸はラインラントと呼ばれ、基本的にはドイツに属するもののフランスとドイツの間で争奪が繰り返された土地である。シュパイアーを過ぎ、マンハイムでは、東から流れてくるネッカー川をあわせる。マンハイムを中心としてシュパイアー周辺までは、ライン=ネッカー広域連合と呼ばれる大都市圏を形成している。マンハイムからヴォルムスを過ぎ、ラインラント=プファルツ州都のマインツでライン川はマイン川と合流する。ここまでが上ラインと呼ばれる。マイン川をさかのぼると、1992年に開通したライン・マイン・ドナウ運河によってドナウ川へと水路がつながっており、この三河川を使用すれば北海から黒海まで河川のみで行くことも可能である。ライン南岸にあるマインツの対岸はヘッセン州州都のヴィースバーデンであり、この2都市は二重都市となっている。このマインツ・ヴィースバーデンから東のフランクフルト・アム・マインまではフランクフルト・ライン=マイン広域連合と呼ばれる大都市圏となっている。
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