ローヌ川とは? わかりやすく解説

ローヌ‐がわ〔‐がは〕【ローヌ川】

読み方:ろーぬがわ

Rhôneスイスアルプス山中に源を発して西流レマン湖経てフランス南東部南流して地中海に注ぐ川。長さ812キロ


ローヌ川

作者井上靖

収載図書井上靖全集 第6巻 短篇 6
出版社新潮社
刊行年月1995.10


ローヌ川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 21:53 UTC 版)

ローヌ川

ローヌ川(ボーケールタラスコン付近)

流域地図
延長 812 km
平均流量 1,820 m³/s
流域面積 95,500 km²
水源 サン=ゴタール山塊ローヌ氷河スイスヴァレー州
水源の標高 1,753 m
河口・合流先 地中海(フランス)
流域 スイス
フランス
テンプレートを表示
レマン湖に流れ込むローヌ川 2007年6月2日撮影
ローヌ川の星月夜英語版 ゴッホ

ローヌ川(ローヌがわ、フランス語: Rhôneドイツ語: Rhoneイタリア語: Rodanoアルピタン語: Ronoオック語: Rose)は、スイス及びフランスを流れ地中海に注ぐヨーロッパ

概要

スイスサン=ゴタール山塊英語版ローヌ氷河に源を発し、レマン湖を経由して、フランス国内に入る。フランス国内では山脈に沿って大きく迂回しながら流れ、リヨンソーヌ川を合わせる。南へ流れを転じ、いくつかの支流を合わせ、アルル付近で二手に分かれて三角州地帯のカマルグを形成し地中海に注ぐ。二手に分かれたあとの東側の流れをグラン・ローヌ、西側をプティ・ローヌと呼ぶ。

フランスでは、セーヌ川ロワール川ガロンヌ川とともに4大河川のひとつに数えられ、そのうち地中海に注ぐ唯一の川であり、唯一の男性名詞でもある。全長812kmのうち、フランス国内を流れるのは581kmである。フランスを流れる川としては長さ・流域面積とも屈指のものとなっている。

ローヌ(Rhone)の語源はラテン語ロダヌス川flumen Rhodanus)であり、さらには古典ギリシア語ロダノスροδανός ;Rhodanos)に遡れるが、これはケルト語の河川名RotoあるいはRodoの音写と考えられている。

プロヴァンス地方の風物詩である北風「ミストラル」は、大西洋からフランス国土に流れ込みアルプス山脈にぶつかって方向を変え、この流域を地中海へ強烈に吹き降ろす。このとき、気温を10度近く下げ、歩くことも困難になるため、人々はひっそりとこの北風の怒りが収まるのを待つ。3の倍数日吹き続けるというこの季節風の対策として、プロヴァンスの古い家屋では北側に窓を設けないなどの工夫がされていた。

鉄道や飛行機が登場する前は、ローヌ川は物資の大動脈としてフランスの南北を結んでいた。例えば、ワインがギリシア人によって最初にマルセイユに持ち込まれると、カエサル率いるローマ軍の進軍とカトリック修道院の繁栄ともに北に西に運ばれ、ブルゴーニュボルドーといった名産地に伝播した。そのためこの流域には、プロヴァンスコート・デュ・ローヌブルゴーニュとワインの産地が連なっている。

流量

ローヌ川の流量は春と秋に最大となり、夏に最小となる。冬はしばしば安定した流量を示すが、目立ったものではない。ボーケールにおける平均流量は毎秒1,900立方メートルであるが、増水したときには毎秒5,000立方メートルにもなる。正式な記録がつけられるようになってからの最高記録は2003年12月に示した毎秒14,000立方メートルである。

生態系

中流部のレマン湖の流出部とブルジェ湖英語版付近にはヨシ原森林などの生態系があり、ホシハジロイシガイ属英語版二枚貝などが生息している[1][2]。河口部のカマルグにはラグーン、淡水の湿地と池、塩性湿地塩湖、塩性草原、乾性草原、砂浜砂丘拠水林英語版など多様な生態系があり、アッケシソウ属英語版などの塩生植物水草、樹林を形成するセイヨウシロヤナギ英語版ギンドロスゲ属などの植物が生え、サギ科カモ科などの多くの種類の鳥類が生息している[3][4]。レマン湖[5][6]ジュネーヴ付近の本流およびアロンドン川フランス語版渓谷とエール川フランス語版渓谷[1]、三角州のカマルグ[4]とカマルグ西側の小カマルグフランス語版はそれぞれラムサール条約登録地となった[7]。また、1977年にカマルグはUNESCO生物圏保護区に指定された[3]

歴史

ローヌ川は、地中海と北部のヨーロッパを結んでいる唯一の流れである。ロードス島・フェニキア時代以来、人口と商品の循環において中心を成している。流域では、先史時代からの痕跡を見つけることができる。

563年レマン湖から5km上流のトレデュナムフランス語版と呼ばれた地点で、ローヌ川に面した山腹が大規模に崩壊。土砂が湖へ流出すると津波が発生し、周辺の村々を飲み込む大災害となった(トレデュナム・イベント英語版[8]

支流

下流より記載。*は右岸支流。括弧内は合流点。

脚注

  1. ^ a b Le Rhône genevois - Vallons de l'Allondon et de la Laire | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2017年3月29日). 2023年2月16日閲覧。
  2. ^ Lac du Bourget - Marais de Chautagne | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2003年2月2日). 2023年2月16日閲覧。
  3. ^ a b Carmargue/Delta du Rhone Biosphere Reserve, France” (英語). UNESCO (2019年4月10日). 2023年2月16日閲覧。
  4. ^ a b Camargue | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org. 2023年2月16日閲覧。
  5. ^ Rives du Lac Léman | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (1991年4月8日). 2023年2月16日閲覧。
  6. ^ Les Grangettes | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年7月9日). 2023年2月16日閲覧。
  7. ^ La Petite Camargue | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org. 2023年2月16日閲覧。
  8. ^ “6世紀のジュネーブを襲った「湖の津波」、スイス研究”. AFPBBNews (フランス通信社). (2012年10月29日). https://www.afpbb.com/articles/-/2909622?ctm_campaign=outbrain 2014年11月16日閲覧。 

外部リンク


「ローヌ川」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ローヌ川」の関連用語

ローヌ川のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ローヌ川のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのローヌ川 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS