ロングリコイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 06:04 UTC 版)
ロングリコイルとは、主に散弾銃で使用される方式で、日本の散弾銃市場では銃身後退式と呼ばれる事もある。この方式で最も有名な物はジョン・ブローニングが1902年に開発し、その後1998年まで100年余りの期間製造が続けられ、戦前の日本では半自動式散弾銃の代名詞的な存在ともなったブローニング・オート5である。 ロングリコイルでは撃発と同時に銃身と遊底が一体となったまま可動部最後尾まで後退し、銃身が先に元の位置へ押し戻される際に空薬莢が排出される。遊底の前進開始と同時に弾倉から新たな装弾が薬室に供給され、遊底が閉鎖される事で次弾装填が完了する。 ロングリコイルはブローニング・オート5の登場以来、1963年のガス圧利用式のレミントンM1100登場まで、半自動式散弾銃の主力で有り続けた。日本でも日本猟銃精機 がフジ・ダイナミックオートとしてこの方式に参入し、その他の競合他社(SKB工業、KFC川口屋林銃砲店、晃電社)もこの方式の半自動式散弾銃の製造販売を行っていた。 ロングリコイルは機構がやや複雑になるが頑丈で信頼性の高い銃を製造できる 反面、多種多様な装薬量のショットシェルを撃つ必要がある散弾銃においては、重装弾になるほど射手に掛かる反動が指数関数的に強くなり、極端な軽装弾や射手の肩付けが不十分で銃身に十分な反動が発生しなかった場合には容易に作動不良を起こしてしまう欠点があった。その為、ガス圧利用式の技術が向上しどのような装弾でも安定したガス圧力を供給する自動ガスピストンなどの新機構が普及すると、ロングリコイル式は次第に廃れていく事になった。しかし今日でもイタリアのフランキがフランキ・AL-48としてこの構造の散弾銃の量産を続けており、同じイタリアの高級元折散弾銃メーカーのコスミもこの方式による手作り高級散弾銃の注文生産を続けている。 散弾銃以外の採用例ではアメリカのレミントンが1906年にレミントン・モデル8として半自動式小銃にこの構造を採用、ハンガリーでは1907年にFrommer Stop拳銃、フランスでは1915年にFM mle1915軽機関銃がこの構造を採用している。
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