レーザー発振による放射光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 08:05 UTC 版)
「半導体レーザー」の記事における「レーザー発振による放射光」の解説
LDは多くのLEDと同様にダブルヘテロ構造を備えた光学半導体であるが、LEDと異なりLDはへき開によって作られた活性層の片側が半反射する鏡(ハーフミラー)と高反射率の鏡面になっている。これらの反射面は屈折率の異なる層で構成されており、活性層を挟むクラッド層との境界面も同様に屈折率が異なるためにこちらは全反射して光が漏れにくい構造になっている。また、クラッド層の外部にはストライプ状の電極が備わっており、電界が加わる領域を細く限定している。ストライプ電極から5V程度の電圧が印加されることで電子がクラッド層を経由して活性層内を流れると、途中の原子は励起され自然放射によって最初の光子が放たれる。光子が周囲に放射されると今度は電界によって活性化されていた原子は誘導放射し、入射光と同じ波長、同じ位相の光が放たれる。最初の入射光はそのまま通過するので、誘導放射の過程での出射光は入射光よりも大きくなる。この反応は連鎖的に行われ光量は増すが、両端部の反射面との間を幾度も反射を繰り返しながら往復する光だけが強度を強めるので、やがて同じ波長(周波数)で同じ位相を持った光だけが主体となり、共振状態に至る。このような構造による共振器は「ファブリ・ペロー共振器」と呼ばれ、共振を起こす領域はクラッド層に挟まれた薄い活性層とストライプ電極の近傍、そしてへき開面の半反射鏡の内側に限定される。活性層はnmオーダーで作られるがストライプ電極などはμmオーダーであるため、光が誘導放射される領域は平たくなっている。 光はハーフミラーである一端から出射されるが、平たい領域から出るへき開面からの出射光も端面近傍では楕円形状となる。そして出射端面の開口が波長程度であるため光が回折し、すぐに放射光は楕円の向きが90度ねじれる。
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