リー群の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 20:47 UTC 版)
「被覆群」も参照 リー群論における中心拡大は代数的位相幾何学に関連して生じる。大まかに言えば、リー群の離散群による中心拡大は被覆群と同じものになっている。より精確には、連結リー群 G の連結被覆群 G* は自然に G の中心拡大となり、そのとき射影 π: G* → G は全射な群準同型である(G* 上の群構造は G の単位元に写る単位元の選び方に依存する)。例えば、G* が G の普遍被覆であるとき、同型の違いを除いて π の核は G の基本群になる(これが可換群となることはよく知られている。H空間を参照)。この構成が中心拡大を与えているのである。逆に、与えられたリー群 G と離散中心的部分群 Z に対し、剰余群 G/Z はリー群で、G はその被覆空間になる。 より一般に、中心拡大に現れる群 A, E, G がリー群で、それらの間の射がリー群準同型であるとき、それらリー群の付随するリー環をそれぞれ a, e, g とすれば、e は g の a による(リー環の)中心拡大である。理論物理学の言葉では、a の生成元はセントラルチャージと呼ばれる。これら生成元は e の中心に入る。ネーターの定理により、対称性の群の生成元は保存量に対応し、チャージと呼ばれる。 被覆群としての中心拡大の基本的な例を挙げれば スピン群は、特殊直交群の二重被覆であり、偶数次元の場合は射影直交群の二重被覆である。 メタプレクティック群は斜交群の二重被覆である。 などがある。SL2(R) の場合は基本群として無限巡回群 Z を伴う。ここでの中心拡大はモジュラー形式論でよく知られており、重みが 1/2 のものがこれに当たる。対応する射影表現はヴェイユ表現であり、(この場合は実数直線上の)フーリエ変換から構成される。メタプレクティック群は量子力学にも現れる。
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