中心拡大とは? わかりやすく解説

群の拡大

(中心拡大 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 20:47 UTC 版)

数学において、群の拡大(ぐんのかくだい、: group extension)は、一般に特定の正規部分群剰余群を使ってを記述することを意味する。Q および N をふたつの群とするとき、GN による Q拡大 (extension) であるとは短完全列

が存在することを言う。GN による Q の拡大(これとあべこべに "GNQ による拡大である" と書く文献もある[1])ならば G は群であり、NG正規部分群剰余群 G/N は群 Q に同型となる。群の拡大は、QN が既知の群であるとき、群 G の性質を決定できるかという拡大の問題 (extension problem)の文脈で現れる。任意の有限群 G は極大正規部分群 N と単純剰余群 G/N を持つから、任意の有限群は有限単純群の列として構成することができる。この事実があるため、有限単純群の分類の完成は動機付けられたのであった。


注釈

  1. ^ 実は、群準同型の存在を仮定するだけで十分である。すなわち、図式の可換性により準同型写像 T は自動的に同型となるからである(短五項補題英語版による)。
  2. ^ あるいは作用素を持つ拡大 Opext(Q, N, φ)[2]

出典

  1. ^ group+extension#Definition in nLab Remark 2.2.
  2. ^ MacLane, Saunders, Homology, p. 103 
  3. ^ Brown & Porter 1996.
  4. ^ Karpilovsky 1987, pp. 5, 7.
  5. ^ Karpilovsky 1987, pp. 92, 94.


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中心拡大

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群の拡大」の記事における「中心拡大」の解説

群 G の中心拡大とは、短完全列 1 → A → E → G → 1 {\displaystyle 1\to A\to E\to G\to 1} で A が群 E の中心 Z(E)含まれるものをいう。G が A に自明作用しているときの G の A による中心拡大の同型全体の成す集合は、2次コホモロジー群 H2(G, A) と一対一対応する。(因子団(英語版)の項も参照。) 任意の群 G と任意のアーベル群 A を使ってE = A × G とおけば中心拡大の例が得られる。これは分裂型(G を E の部分群見れば上述した意味での分裂拡大)の例でありとくに面白くは無い(コホモロジー群との対応で言えば、H2(G, A) の元 0 に対応する)ものである。もっとちゃんとした例は射影表現論において射影表現がふつうの線型表現持ち上げられない場合に見つけることができる。 有限完全群の場合には普遍全中拡大存在する群の中心拡大同様にリー環の中心拡大も完全列 0 → a → e → g → 0 {\displaystyle 0\to {\mathfrak {a}}\to {\mathfrak {e}}\to {\mathfrak {g}}\to 0} で、 a {\displaystyle {\mathfrak {a}}} が e {\displaystyle {\mathfrak {e}}} の中心に含まれるようなものとして定義される。 Maltsev多様体英語版)における中心拡大の一般論存在する(Janeldze & Kelly 2000)。

※この「中心拡大」の解説は、「群の拡大」の解説の一部です。
「中心拡大」を含む「群の拡大」の記事については、「群の拡大」の概要を参照ください。

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