中心核の水素の消耗後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:01 UTC 版)
太陽は超新星爆発を起こすのに十分なほど質量が大きくない。20世紀末–21世紀初頭の研究では太陽の主系列段階は約109億年続くとされており、63億年後には中心核で燃料となる水素が使い果たされ、中心核ではなくその周囲で水素の核融合が始まるとされる。その結果、重力により収縮しようとする力と核融合反応により膨張しようとする力の均衡が崩れ、太陽は膨張を開始して赤色巨星の段階に入る。外層は現在の11倍から170倍程度にまで膨張する一方、核融合反応の起きていない中心核は収縮を続ける。この時点で水星と金星は太陽に飲み込まれ、高温のために融解し蒸発するだろうと予想されている。 76億年後には中心核の温度は約3億Kにまで上昇し、ヘリウムの燃焼が始まる。すると太陽は主系列時代のような力の均衡を取り戻し、現在の11–19倍程度にまで一旦小さくなる。中心核では水素とヘリウムが2層構造で核融合反応を始める結果、主系列段階よりも多くの水素とヘリウムが消費されるようになる。この安定した時期はおよそ1億年程度続くとされるが、主系列期の109億年に比べれば1パーセントにも満たない。やがて中心核がヘリウムの燃えかすである炭素や酸素で満たされると、水素とヘリウムの2層燃焼が外層部へと移動し、太陽は再び膨張を開始する。最終的に太陽は現在の200倍から800倍にまで巨大化し、膨張した外層は現在の地球軌道近くにまで達すると考えられる。このため、かつては地球も太陽に飲み込まれるか蒸発してしまうと予測されていたが、20世紀末–21世紀初頭の研究では赤色巨星段階の初期に起こる質量放出によって重力が弱まり、惑星の公転軌道が外側に移動するため地球が太陽に飲み込まれることはないだろうとされている。ただし、太陽がどのように膨張し地球がどのような影響を与えるのか正確に予測するのは困難とされる場合もある。 赤色巨星の段階に続いて太陽は脈動変光星へと進化し、これによって外層の物質が四方八方へと放出されて惑星状星雲を作り、10–50万年にわたってガスを放出する。その後、太陽は白色矮星となり、何十億年にもわたってゆっくりと冷えていき、123億年後には収縮も止まる。この進化モデルは質量の小さな恒星の典型的な一生であり、恒星としての太陽は非常にありふれた星であると言える。
※この「中心核の水素の消耗後」の解説は、「太陽」の解説の一部です。
「中心核の水素の消耗後」を含む「太陽」の記事については、「太陽」の概要を参照ください。
- 中心核の水素の消耗後のページへのリンク