リード・オルガン族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:00 UTC 版)
フリー・リードを用いた楽器の総称。ハーモニウム、アコーディオン、コンサーティーナ、鍵盤ハーモニカ、ハーモニカなどがある。フリー・リードを持つ楽器の多くは19世紀以降に発明された新しい楽器であるが、笙は歴史の古いフリー・リードによる管楽器。 フリー・リード(自由リード、自由簧)とは、各国語では、英語:free reed(フリー・リード)、独語:durchschlagende Zunge(ドゥアヒシュラーゲンデ・ツンゲ)、einschlagende Zunge(アインシュラーゲンデ・ツンゲ)、freischwingende(フライシュヴィンゲンデ)、仏語:anche libre(アンシュ・リーブル)、伊語:ancia libra(アンチャ・リブラ)などと称し、これは弾力性の高い金属片(まれに竹製)が風で振動させられる発音体を指す。平らな板に穴を開けておき、その穴の脇にフリー・リードの端を固定して並べる。穴の反対側から空気を送り込むか吸い出すかによって音が生み出される(en:Free_reed_aerophone)。一般的にはリードを固定している響板をリードに共鳴振動させて音量を確保している(ヴァイオリンの胴と同じ効果)。スウェル、フルオルガン(グラン・ジュー)、エクスプレッションなど各種の増幅装置がある。まれにクオリファイング・チューブ(特許あり)と呼ばれる共鳴管を備えるタイプがある。パイプによる発音体を作るよりもずっと簡単で、丈夫で音も狂う心配はなく、工場による大量生産も簡単で、コストを非常に抑えることができ、鍵盤楽器としては小型で場所を取らないことから、大衆向けの安価な楽器として広く一般に浸透した。ただし本格的なリード列を持つハーモニウム類の場合、もし現在同じものを作るとしたら、価格面ではパイプオルガンに匹敵するほどになる。 リードの材質の厚さ、長さ、比重、弾力性などによって音の高低は決まる。音色は、リードの長さと幅の比率や、リードの材質の比重と弾力などによっても決まる。リードの微妙な曲げ方、形状によっても音色を変えている。パイプオルガンと同様にピッチの異なるストップを組み合わせて音色を変化させる方法も行われる。二枚のリードの調律を少しずらしてセレステ効果を出すストップもある。 送風用ペダルは二個備わっており交互に踏むことで連続した音を出すことが出来る。そのため、息継ぎに相当する無音を防ぐことが出来る。後述のアコーディオンのようにペダルで音量調整やアタックの調整も可能であるが、通常は「ニー・スウェル」と呼ばれる鍵盤の真下に取り付けられた操作機構を横方向に動かして行う。 送風が電動化されたリードオルガンには送風用ペダルはなく、電子オルガンのような音量調整用ペダルが備わるが、操作性の互換のためにニー・スウェルが付く場合もある。
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