リバタリアンおよび保守主義者からの批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 10:26 UTC 版)
「隷属への道」の記事における「リバタリアンおよび保守主義者からの批判」の解説
ミーゼス研究所のリバタリアン・無政府資本主義者ウォルター・ブロックは『隷属への道』における自由市場と自由放任への信頼は生ぬるいとして、「一部のリベラル派が固執している、特定のルールの市場原理に対する優越よりも悪いということにはならないだろう」と述べた。本書において、ハイエクは政府には貨幣システムを制御し(後に撤回する)、労働時間を制限し、社会福祉と情報の流通システムを整備する任務があるとしている。しかしブロックはこれを「社会主義に対抗したように見せかけて、ハイエクは彼の哲学的立場ゆえに数々の妥協を重ねている。こうした妥協のシステムが自由市場より先に導入されれば、彼が明確に反対した社会主義のシステムとさほど違わない結果しか生まないだろう」と切り捨てた。 ゴードン・タロックはハイエクの分析を20世紀後半の全体主義体制を想定したものに過ぎないとし、GDPの63%を政府が支配するスウェーデンを持ち出して『隷属への道』を批判した。タロックは本書を批判し、「すでに誤りであることがわかっている想定を利用しており、スウェーデンのように優れた政府のシステムが導入されれば計画経済が政治的自由を脅かすことはない」とした。一方でタロックは古典的自由主義経済には好意的であり、「政治的自由は、経済的自由と同程度には強調されている。十分論じ尽くされたので、新しく補強する必要はない」と評した。しかしロバート・スキデルスキーによれば、ハイエクは「こうした回顧的な反論から我が身を守ることばかり考えている」ものの、スキデルスキーはハイエクの議論の妥当性を認めつつ「1970年までの間に、福祉主義国家における多くの落とし穴の存在が証拠的に示唆されていた。そこにサッチャーが現れた。ハイエクの功績はサッチャーの決断を後押しし、英国をその病から救い出したことだ」と評した。
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