リシンに関する事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 23:09 UTC 版)
「リシン (毒物)」の記事における「リシンに関する事件」の解説
1978年9月7日、ロンドンでブルガリア出身の作家ゲオルギー・マルコフが倒れ、4日後に死亡した。このニュースを聞いて驚いたパリ在住のウラジミール・コストフは、何者かに傘の先端で突かれた2週間前の経験からただちに病院で検査した結果、リシンが封入された約1mmの白金-イリジウム合金の弾丸が発見された(厚着をしていたことから、体内深くまで弾丸が打ち込まれなかった)。その後、マルコフの体内からも同種の弾丸が発見され、被害者2名とも共産政権だったブルガリアからの亡命者だったことから、KGBかブルガリア秘密警察 (STB) による犯行と考えられた。リシン入りの弾丸を傘に偽装した空気銃で発射し、暗殺を謀ったのである。 2003年11月、ワシントンD.C.のホワイトハウス宛の手紙に封入されたリシンが検出された。その手紙はホワイトハウスから離れた郵送物を扱う施設で発見され、大事にはいたらなかった。手紙は細かい粉末状の物質を含んでおり、その後のテストによってリシンと確認された。この情報は、2004年2月3日に予備調査でアメリカ上院のビル・フリスト議員(当時の多数党院内総務)のオフィスの郵送物取扱室で同様の事件が発覚するまで、公にされなかった。この事件を受け、いくつかの上院議員のオフィスが予備措置として閉鎖されたが、健康に被害がおよんだという人物は現れていない。 2013年4月、アメリカで当時の大統領バラク・オバマ宛の手紙に混入されていたリシンを、シークレットサービスが発見した。10年前の事例同様、ホワイトハウス近くの郵便物を仕分ける施設で発見されたため、オバマの手元には届いていない。 2013年5月、ニューヨーク市で当時の市長マイケル・ブルームバーグおよび彼が支援する団体「不法な銃に反対する市長たち(Mayors Against Illegal Guns)」のもとに送られてきた手紙から、リシンが検出された。先のオバマの事件と同一犯として、2013年6月にテキサス州の女性が容疑者として逮捕された。 2015年11月、別居中の夫の焼酎にトウゴマから抽出したリシンを混ぜて殺害をもくろんだとして、殺人未遂の疑いで宇都宮市に住む妻が逮捕された。 2018年10月1日、アメリカ国防総省は、ドナルド・トランプ大統領、ジェームズ・マティス国防相、リチャードソン(英語版)アメリカ海軍作戦部長あてに郵送された封筒からリシンが検出されたことを発表。リシンの検出は、配達される前段階の郵便物検査施設で判明したものであり、宛先の本人はもちろんのこと職員らに危険が及ぶことはなかった。同月3日に、元海軍軍人が逮捕され、問題となった成分はリシンそのものではなくトウゴマの実を含む成分であったことが明らかになっている。 2020年9月19日、トランプ大統領あての郵便物からリシンが検出されたことが報じられ、同月20日、容疑者のカナダ人の女が逮捕された。 2021年7月19日、同僚男性の水筒にトウゴマから抽出したリシンを水筒に入れ、水筒を使用不能にしたとして、神戸地検は加古川市在住の元会社員の女性を起訴した。
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