ラジオ放送の開始と中止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:54 UTC 版)
「グリエルモ・マルコーニ」の記事における「ラジオ放送の開始と中止」の解説
1920年1月15日、マルコーニ社は郵政庁GPOの許可を受けてチェルムスフォードで真空管式6kW送信機による英国初の娯楽ラジオ放送の試験を開始した。そして電力15kWの新型送信機が完成すると、2月22日から3月6日まで11:00-11:30と20:00-20:30の定時放送を行ったあと、不定期放送に戻った。 1920年6月15日は欧州大陸のリスナーに向けて三箇国語(英語・フランス語・イタリア語)で、オーストラリア出身のオペラ歌手ネリー・メルバ夫人の音楽番組が放送された。これは世界初の国際放送であり、また世界初の音楽ライブ放送だった。この英国チェルムスフォードからのラジオ放送は北欧諸国まで届いていたが、8月2日の番組は大西洋を越えてカナダでも受信されている。欧州では大変注目されたラジオ放送だったが、まもなく英国空軍の無線システムへ混信を与えることが問題となり、1920年秋に中止となった。 ラジオ放送ができなくなったチェルムスフォード研究所のラウンド技師ら無線電話の開発グループは、波長100m(3MHz)の2波を使う同時通話式の無線電話の研究をはじめた。そして1921年5月11日、英国のサウスウォールドとオランダのザンドヴォールト間の海上200kmを3MHzの短波で結ぶ北海横断試験を成功させている。この短波帯同時送話テストの成功は日本の新聞も伝えた。 なお前述した波長15m(20MHz)の別グループの無線電話は、1920年6月にカーナボンからアイリッシュ海を130km隔てたアイルランドのキングスタウン港で受信されている。これに自信を得て1921年8月、ロンドン郊外のヘンドンとバーミンガムに20MHzのパラボラ・ビーム・アンテナ局をお互い向き合うように建設し、20MHzの2波を使った同時通話試験(距離156km)を開始した。 北海横断国際無線電話回線(3MHz)も、ヘンドン・バーミンガム無線電話回線(20MHz)も、同時通話方式だった。これはいまさら陸上の電信回線に新規参入しても勝ち目がないため、有線電話の公衆網へ接続する無線中継回線を目指していたからである。
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