モリアーティというキャラクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 02:48 UTC 版)
「ジェームズ・モリアーティ」の記事における「モリアーティというキャラクター」の解説
モリアーティは元々、ドイルがシャーロック・ホームズを終わらせるために作り上げた人物である。そのため、ホームズと同等の知能を持たされた。2人は自らの運命を託して勝負をし、大方はホームズの勝利に終わるが、しかし2人ともライヘンバッハの滝で命を落す、と「最後の事件」で書かれた。しかし、ホームズの復活を望む読者の声に押されて書かれた「空き家の冒険」でホームズは生きていたことにされ、モリアーティ教授の片腕を務めていたセバスチャン・モラン大佐と対決する。 モリアーティがライヘンバッハの滝に転落死した後、モリアーティの部下がホームズの復活と共に駆逐される。この点において、モリアーティは完敗である。そして、ホームズは「空き家の冒険」の次作「ノーウッドの建築業者」の冒頭で「モリアーティを失って以来、この町はつまらなくなった」と述べている。後に書かれた長編『恐怖の谷』においては、モリアーティはホームズと間接的に対決し、勝利を収めるが、これは「最後の事件」に臨む前の対決である。 モリアーティはドイルの母親であるメアリのスペルをもじって作り出した人物だといわれるが、「犯罪界のナポレオン」というあだ名などを含めてのモデルはアダム・ワース(英語版)という人物だとドイルは挙げており、このワースは1844年のプロイセンに生まれて5歳の時に家族ごとアメリカに移住、南北戦争の第一次ブルランの戦いの時に戦死したことになり、そのまま姿を消してその後ボストン地域で泥棒になり活躍し、1869年にはボストン最大の銀行であるボイルストン国法銀行を「無関係な隣の家を借りてそこから穴をあけて金庫室に侵入」という「赤毛連盟」の元ネタのような手段で大金(15万から20万ドルほど)を奪った、銀行側も対抗するためピンカートン探偵社を雇ってワースを追わせたが、ワースはヨーロッパに逃げ、ヘンリー・J・レイモンドと名前を変え、ロンドンなどに窃盗団のネットワークを築き、当時スコットランドヤードの犯罪捜査部門の長だったサー・ロバート・アンダースンに「犯罪界のナポレオン(the Napoleon of the criminal world)」というあだ名をつけられた人物で、これ以外にも絵画泥棒としても有名であった。 モリアーティの登場は言及も含めての登場は6作品に留まるが、ウィリアム・ジレットが脚色した舞台で出番を増やすなどしたことで、ライバルキャラクターとして人気が確立していった。
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