メガジャーナル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 02:42 UTC 版)
「オープンアクセスジャーナル」の記事における「メガジャーナル」の解説
著者支払い型のオープンアクセスジャーナルは論文数や刊行頻度に制限を持たない電子媒体であり、出版コストも著者に負担させることができることから、大量の論文を掲載するメガジャーナルへとつながった。メガジャーナルの定義は、最初のメガジャーナルとして知られる PLOS ONE の発行元 PLOS の当時の CEO、ピーター・ビンフィールドによれば、年に1000本以上掲載し、著者支払い型を採用し無料で読めること、また研究の重要性などを考慮した人為的な取捨選択を行わないこと、広い分野を対象としていることとしている。2012年には、20,000本以上の論文を掲載し、STM分野における論文のうち、約3%は PLOS ONE に掲載されていたものであった。これだけの量を掲載すると、購読には向かず著者支払い型が適しており、また大規模に行うことで論文1本あたりの単価を下げることができるという。その性質上、品質は保証しても価値(重要性)は保証しない。また取り扱う分野も幅広く、杉田茂樹は「低廉な軽量査読サービスを備えたオープンアクセスリポジトリ」とでも言うべきものとし、グリーンとゴールドの中間に位置する存在とも考えられると述べている。Nature の Scientific Reports などのように大手商業出版社もメガジャーナルを刊行している。 メガジャーナルでは査読が簡素化されているため、2011年には PLOS ONE では70%が受理されている。ハイブリッドジャーナルの Physical Review Letters では35%弱、購読型ジャーナルの Nature では同じ年に8%しか受理されていない。地理学者の鈴木晃志郎は、メガジャーナルのような軽量査読のジャーナルは「アカデミックな査読制の上になりたってきたこれまでの学術論文への社会的信頼性を、根底から揺さぶる可能性を秘めている」と述べ、メガジャーナルが増加していくにつれ、出版詐欺あるいはハゲタカ出版と言われるようなものとの境は曖昧となっていくだろうと指摘している。
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