ミナルディ・M188とは? わかりやすく解説

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ミナルディ・M188

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 17:52 UTC 版)

ミナルディ・M188 / M188B
カテゴリー F1
コンストラクター ミナルディ
デザイナー ジャコモ・カリーリ
(テクニカルディレクター)
アルド・コスタ
(チーフデザイナー)
先代 ミナルディ・M186[1]
後継 ミナルディ・M189
主要諸元
シャシー カーボンファイバー アルミニウム モノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン、プルロッド式
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン、プルロッド式
エンジン フォード コスワース DFZ (Mader)(1988)
フォード コスワース DFR (1989) 3.5リッター, 585馬力(DFZ 1988)/595馬力(DFR 1989), V8 (90°), NA, ミッドエンジン
トランスミッション ミナルディ製 5速, MT
重量 506kg
燃料 アジップ
タイヤ グッドイヤー (1988)
ピレリ (1989)
主要成績
チーム ロイス・ミナルディ・チーム
ミナルディF1チーム
ドライバー エイドリアン・カンポス
ルイス・ペレス=サラ
ピエルルイジ・マルティニ
初戦 1988年ブラジルグランプリ
出走優勝ポールFラップ
19000
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ミナルディ・M188 (Minardi M188) は、ジャコモ・カリーリアルド・コスタが設計したフォーミュラ1カーで、1988年から1989年にかけてミナルディチームによって使用された。

M188

ミナルディは前年を2シーズン目となるM186で戦っており[1]、M188はチームにとって約2年ぶりの完全な新車であった。ターボエンジン禁止レギュレーションを1年後に控えた1988年、ミナルディはこれまで搭載していたモトーリ・モデルニV6ターボによるトラブル発生が多発していたこともあり、完走率向上を目指してV8NAエンジンのコスワース・DFZに変更。同年までF1のタイヤはグッドイヤーによる独占となっておりそれを装着した。

M188はフロントダンパーの配置に工夫を施されたミナルディの意欲作だった。特徴的なフロントダンパーの配置は、前年にベネトンロリー・バーンB187で採用した配置に似ており、左右のフロントダンパーを進行方向に向かって横向きにしてフロントノーズ上面で前後互い違いにオフセット配置し、プッシュロッドにより入力することによって省スペース化、モノコック全幅を少なくして細いフロントノーズを実現させる狙いがあった[2]。カリーリ独自のものとして、シーズン開幕時にはコイルスプリングではなくトーションバーを用いたダンパーを採用。これをアンチロールバーで車高を調整する仕組みだった。

ドライバーは二年目となるエイドリアン・カンポスと、前年の国際F3000でタイトル争いをしたルイス・ペレス=サラと新たに二年契約を結び[3]スペイン人コンビとなった。F1ルーキーのペレス=サラはすぐにカンポスよりM188を速く走らせるようになると、カンポスは成績不振によって第5戦で解雇となり、レーサーを引退して母国スペインでの後進の育成に携わることとなった[4]。カンポスの後任には1985年に在籍していたピエルルイジ・マルティニが呼び戻された[5]

マルティニは復帰戦となった第6戦デトロイトGP決勝で6位入賞し、M188はミナルディに初の選手権ポイントをもたらした。

8月の第10戦ハンガリーGP第11戦ベルギーGPではダンパーをコイルスプリング方式に戻し、第12戦イタリアGP以後はタンパー配置も横向き前後オフセットではなくドライバーの足と同じ向きに並べられるオーソドックスな配置とするなど、継続して複数の研究・模索が続けられた。このイタリアGPからはサスペンションアームの形状を変更してホイールベースを従来より長めに変更するモデファイも施された。

コンストラクターズ・ランキングはマルティニの1ポイント獲得により10位を記録した。

シーズン終了後には、スバルモトーリ・モデルニと手を組んで開発した水平対向12気筒エンジン[6]をM188に搭載し、マルティニがシェイクダウンテストを行った[7]。開発状況が良好な場合には次モデルであるM189にモトーリモデルニ・スバルを搭載する構想だったが、V型エンジンと比べると明らかに重量過多でありトラブルを多発。翌1989年途中までテストはされたが、結局ミナルディはスバルから手を引いた。このスバルエンジンは1年後の1990年にコローニが搭載したが、戦闘力を持たず第8戦で撤退となり、キャスピタが搭載する予定だったエンジンも中止となった。

スペック

シャーシ

  • シャーシ名 M188
  • ホイールベース 2690mm
  • 重量 506 kg
  • タイヤ グッドイヤー
  • クラッチ AP
  • ブレーキキャリパー AP
  • ブレーキディスク・パッド SEP[要曖昧さ回避]

エンジン

M188B

1989年シーズンの開幕戦から第3戦モナコGPまでは前年の改良型であるM188Bを使用した。タイヤはこの年からサプライヤーとして再参入したピレリと新たに契約。エンジンはフォード・コスワース・DFRに変更された。ドライバーはペレス=サラとマルティニのコンビが継続。2月の開幕前に行われたヘレス合同テストでは、エンジンをDFRに乗せ換えたM188Bは「意外な」速さを見せ、前年に同地で行われた1988年スペイングランプリ予選でアイルトン・セナが記録したPPタイムを上回り話題となった[8]

シーズンが始まると、マルティニは予選11位グリッドを二度記録するなどピレリのQタイヤ(予選用タイヤ)を活かした走りを見せたが、決勝では2人とも第3戦まで連続リタイヤを喫した。マルティニは全てメカニカルトラブル、ペレス=サラは他車との接触とエンジントラブルによるリタイヤだった。

第4戦からは新車M189が投入されM188は役目を終えた。

スペック

シャーシ

エンジン

  • エンジン名 コスワースDFR
  • 気筒数・角度 V型8気筒・90度
  • 排気量 3,494cc
  • 出力 595馬力以上

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション

シャシー タイヤ No ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1988年 M188 G BRA
SMR
MON
MEX
CAN
DET
FRA
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
POR
ESP
JPN
AUS
1 10
23 カンポス Ret 16 DNQ DNQ DNQ
23 マルティニ 6 15 15 DNQ Ret DNQ Ret Ret Ret 13 7
24 ペレス Ret 11 Ret 11 13 Ret NC Ret DNQ 10 DNQ Ret 8 12 15 Ret
1989年 M188B P BRA
SMR
MON
MEX
USA
CAN
FRA
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
POR
ESP
JPN
AUS
6[9] 11
23 マルティニ Ret Ret Ret
24 ペレス Ret Ret Ret
1988年
  • コンストラクターズ10位。
  • ドライバーズランキング-位:エイドリアン・カンポス(予選最高位22位1回 決勝最高位16位1回)第5戦まで参戦
  • ドライバーズランキング16位:ピエルルイジ・マルティニ(予選最高位14位3回 決勝最高位6位1回)第6戦以降参戦
  • ドライバーズランキング-位:ルイス・ペレス=サラ(予選最高位11位1回 決勝最高位8位1回)
1989年
  • コンストラクターズ10位。
  • ドライバーズランキング14位:ピエルルイジ・マルティニ(予選最高位3位1回 決勝最高位5位2回)第15戦のみ欠場
  • ドライバーズランキング26位:ルイス・ペレス=サラ(予選最高位9位1回 決勝最高位6位1回)

参照

  1. ^ a b Auto e Piloti del Minardi Team 1987 Modello M186 ミナルディ公式ウェブサイト
  2. ^ THE DESIGNER ミナルディM188のフロントセクション グランプリ・エクスプレス '88GP号 頁 山海堂 1988年4月23日発行
  3. ^ 好青年はスパニッシュ・ファイター ルイス・ペレス・サラインタビュー グランプリエクスプレス '88スペインGP号 10-11頁 1988年10月21日発行
  4. ^ カンポスの新しい人生 グランプリ・エクスプレス '88カナダGP号 28頁 1988年7月2日発行
  5. ^ マルティニはF1シートを失った後、ペレス=サラと同様に国際F3000に参戦していた。
  6. ^ このエンジンは元々は高級スポーツカージオット・キャスピタに搭載するために開発された。
  7. ^ ミナルディ・スバルMMの開発 6月に非公開の実車テストを予定 グランプリ・エクスプレス '89シーズン開幕直前号 6頁 1989年4月3日発行
  8. ^ テストで見たNA回帰元年激戦の証・ミナルディが速い! GPX '89シーズン歓待号 26頁 1989年3月13日発行
  9. ^ ミナルディ・M189でのポイントを含む。




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