ザクスピード・881とは? わかりやすく解説

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ザクスピード・881

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 16:25 UTC 版)

ザクスピード・881
カテゴリー F1
コンストラクター ザクスピード
デザイナー クリス・マーフィー
ハインツ・ツェルナー
先代 ザクスピード・871
後継 ザクスピード・891
主要諸元[1]
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, プルロッド
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, プルロッド
トレッド 前:1,810 mm (71 in)
後:1,617 mm (63.7 in)
ホイールベース 2,830 mm (111 in)
エンジン ザクスピード 1500/4 1,495 cc (91.2 cu in), 直列4気筒, ターボ(過給圧2.5バール), ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ヒューランド / ザクスピード 6速 MT
重量 560 kg (1,230 lb)
燃料 シェル
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ウエスト ザクスピード・レーシング
ドライバー 9. ピエルカルロ・ギンザーニ
10. ベルント・シュナイダー
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1988年ブラジルグランプリ
出走優勝ポールFラップ
16000
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ザクスピード・881 (Zakspeed 881) は、ザクスピード1988年F1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。デザイナーはクリス・マーフィーとハインツ・ツェルナー。チームが独自に開発した直列4気筒ターボエンジン1500/4を搭載した。ドライバーはピエルカルロ・ギンザーニと、ドイツ人ルーキーのベルント・シュナイダー。決勝最高成績は12位。

概要

開発

881は前年の871の発展型であり、ターボエンジンの最後の年のマシンであった。881はザクスピードが自社製エンジンを搭載した最後のF1マシンであり、そのエンジンは640 bhp (477 kW; 649 PS)を発揮した。これは当時最もパワフルなエンジンの一つで、ホンダフェラーリV6エンジンとは10馬力ほど劣るだけで、アロウズが用いるメガトロンエンジンとほぼ同様の出力であった。ホンダエンジンを搭載したマクラーレンは15勝を挙げポールポジション15回を記録し、この他にポールポジションと勝利を獲得したのはフェラーリエンジンであった。ギンザーニは7回予選落ちし、シュナイダーは10回であった[2]。881にとってネックとなったのは重量であった。881の車重は560 kg (1,230 lb)あり、これはマクラーレン・MP4/4フェラーリ・F187/88C、およびホンダエンジンを搭載したロータス・100Tより約20 kg (44 lb)重かった。

1988年シーズン

ドライバーは前年のマーティン・ブランドルクリスチャン・ダナーに代わってギンザーニとシュナイダーが起用されたが、両名ともシーズンを通して下位で自然吸気エンジン搭載車と予選通過を争った。前ドイツF3チャンピオンであるシュナイダーは、F1マシンに慣れた第4戦以後はほとんどのグランプリでベテランのギンザーニよりも速い予選タイムを記録した。

ドイツ人ルーキーのシュナイダーは開幕から3戦連続で予選落ちしていたが、第4戦メキシコGPで初めて決勝進出した。エルマノス・ロドリゲス・サーキットは高地のため空気が薄く、ターボエンジンにとってはアドバンテージとなった。自然吸気勢はパワーが25%落ちとなったが、ターボでは5%程でとどまった。シュナイダーは15位で予選を通過し、決勝では10位まで上がったものの、16周目にエンジントラブルでリタイアした。

シルバーストーンで開催された第8戦イギリスGPは、ターボ搭載車に有利な高速サーキットであったにもかかわらず、ギンザーニとシュナイダーは共に予選落ちした。このグランプリでザクスピードは予選通過できなかった唯一のターボ車であった。シュナイダーは自分とチームにとっての母国開催である第9戦ドイツGPで12位となり、これがチームにとってシーズン最高位となった。

881は速さが無いばかりか信頼性も欠けており、エンジンもしくはターボのどちらかがブローすることが頻繁であった。ザクスピードのドライバーは両名ともポイント獲得できず、その影響で1989年予備予選に出場しなければならなくなった。

第12戦イタリアGP会場のモンツァで、「ザクスピード・ヤマハ」の結成が発表され[3]、チームのF1参戦開始以来続けてきたザクスピード製エンジンでのチャレンジは881で終了となることが決まった。シーズンが終了すると881はエンジンを自然吸気のヤマハ・OX88換装したテスト用車両となり、12月からシュナイダーと鈴木亜久里によってエンジンテストに使用された[4]

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション

チーム エンジン タイヤ ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1988年 ウエスト ザクスピード・レーシング ザクスピード 1500/4
S4 tc
G BRA
SMR
MON
MEX
CAN
DET
FRA
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
POR
ESP
JPN
AUS
0 NC
ピエルカルロ・ギンザーニ DNQ Ret Ret 15 14 DNQ DSQ DNQ 14 DNQ Ret Ret DNQ DNQ DNQ Ret
ベルント・シュナイダー DNQ DNQ DNQ Ret DNQ DNQ Ret DNQ 12 DNQ 13 Ret DNQ DNQ Ret DNQ

参照

  1. ^ STATS F1 - Zakspeed 881”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ Zakspeed F1 Engines at”. Gurneyflap.com. 2012年1月7日閲覧。
  3. ^ ザクスピード・ヤマハ 1989年に向けて発進 グランプリ・エクスプレス '88イタリアGP号 29頁 1988年10月1日発行
  4. ^ ザコウスキー大いなる期待 グランプリ・エクスプレス '89シーズン歓待号 8頁 1989年3月13日発行
  • Roebuck, Nigel; Tremayne, David; Hamilton, Maurice; Jones, Alan (1989). Grand Prix World Formula One Championship 1988/89. Magenta Press Ltd. ISBN 0-908081-59-6 





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