マルチコア処理クライアント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:37 UTC 版)
「Folding@home」の記事における「マルチコア処理クライアント」の解説
Folding@homeは、最新のマルチコア・プロセッサの並列計算能力を利用することができ、複数のCPUコアを同時に使用することで、シミュレーション全体をはるかに早く完了させることができる。 同じ時間でより長いシミュレーション軌道を実行し、また大規模なシミュレーションを多くの別々のプロセッサに分散するという従来の困難を軽減するために、この方法は科学的にも価値のある方法である。 Journal of Molecular Biology(英語版)誌に掲載された2007年の論文では、マルチコア処理に依存することで、実験的なフォールディングと一致したビリン・タンパク質の一部のフォールディングを、シングルプロセッサクライアントで可能なものよりも約10倍長くシミュレーションしたと報告された。 2006年11月、第一世代の対称型マルチプロセシング(SMP)クライアントがオープンベータテスト用に公開され、これはSMP1と呼ばれた。 このクライアントは、並列処理にMessage Passing Interface(MPI)通信プロトコルを使用していたが、当時のGROMACSコアは複数スレッドでの使用を想定していなかった。 分散コンピューティングプロジェクトでMPIを使用した初めての試みであった。 クライアントはLinuxやmacOSなどのUnixベースのOSでは問題なく動作したものの、Windowsでは問題があった。 2010年1月24日、SMPクライアントの第二世代であり、SMP1の後継となるSMP2がオープンベータとしてリリースされ、複雑なMPIは、より信頼性の高いスレッドベースの実装に置き換えられた。 SMP2は、異常に大きく、計算集約的で、科学的優先度が非常に高いタンパク質をシミュレートするように設計された、Big Advanced(bigadvまたはBAとも)ワークユニットの特別なカテゴリのトライアルをサポートしていた。 これらのユニットは、もともと最低8個のCPUコアを必要としていたが、2012年2月7日に16個のCPUコアに引き上げられた。 標準的なSMP2ワークユニットよりもハードウェア要件が増えたことに加えて、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)やインターネットの帯域幅などのシステムリソースが必要となった。 その見返りとして、これらを実行するユーザは、SMP2のボーナスポイントシステム以上の20%高い報酬が与えられた。 bigadvカテゴリでは、以前はスーパーコンピュータのクラスタを使用しなければならず、Folding@home上では他のどこでも実行できなかったような、特に要求の厳しいシミュレーションを長時間実行することができた。 ところが、bigadvユニットを実行できるハードウェアを持っている多くのユーザは、後からCPUコアの最小値が増加した時に、そのハードウェアがbigadvワークユニットには不適格とみなされ、通常のSMPワークユニットしか実行できなくなってしまった。 このことはプログラムに多額の資金を投資した多くのユーザーをいら立たせ、bigadvの目的でハードウェアが使用できなくなってしまった。 その結果、パンデは2014年1月にbigadvプログラムを2015年1月31日に終了することを発表した。
※この「マルチコア処理クライアント」の解説は、「Folding@home」の解説の一部です。
「マルチコア処理クライアント」を含む「Folding@home」の記事については、「Folding@home」の概要を参照ください。
- マルチコア処理クライアントのページへのリンク