ボールペンの使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 14:21 UTC 版)
メイスは芸術媒体としてボールペンを使用することを通じて、洞察力を表現している。単にどこにでもある道具であるという点がルーツであり、絵描きとしての方向性を幼いころに決定づけた。労働者階級の家庭で育ったメイスにとって、最も入手しやすい画材はボールペンだった。この便利な画材はメイスの創造的な本能を煽るのに十分であり、インスピレーションが湧くままに描くことを許した。ボールペンの芸術性は限定的だという認識に対して、メイスはそれはとても多彩であると反論する。彼は、木材、デニム、革など様々な表面に描き、一時的な入れ墨のように肌に直接描くこともある。評論家もメイスがボールペンを介して実現する色やトーンの驚くべき範囲についてコメントしている。メイスのアートワークに慣れていない観客はどんな媒体を使って描かれているのか困惑するだろうが、近づいてみることによって、細かい陰影線が明らかになる。しかし、メイスの作品は、綿密な確認をしても、まるで線が消えたような錯覚を覚えさせる鮮やかなトーンを再現している。メイスはこれを「驚きの要素」と捉え、念入りな試みで観客を感動させるだけではなく、自分自身の能力の限界にも挑戦をしている。 一方、精度の高い線描自体がアーティストの他の興味を喚起している。ボールペンは、ブラシを使用して効果的に描かれていたものとはまた違ったシャープなラインを可能にする。メイスは、は時に機械的ともとれる彼の作品に見受けられる技法は、長らくボールペンで描いてきたことによるものだと言う。特に”思考、視覚、感覚の協調”を磨いたことに起因すると。実際彼がボールペンに惹かれるのは、他の芸術家たちであれば避けて通る挑戦があるからであろう - ボールペンの持つ不可逆性である。ボールペンで描くことは、一度線を引けば戻すことができないため、「保護ネットなしに綱渡りをするようなもの」とメイスは評する。そのため、ペンが紙に触れるより先に頭の中で描画が始まっているとのこと。メイスはその直感、即時性が許されざる結果を招く可能性を否定せず、「(絵が)そのように湧いてきて、そのまま作品になり、そのまま見る者に記憶される、以上」とコメントしている。
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