フレンチ‐パラドックス【French paradox】
フレンチパラドックス
赤ワインが良く飲まれている南フランスでは、他の欧米諸国と同様に、脂肪摂取量が多いにもかかわらず、動脈硬化の患者が際立って少なく、この一見矛盾とも思われる事実が専門家の注目を集め、「フレンチパラドックス」と呼ばれていました。この事実の原因を解明しようという研究は欧米のいくつかのグループを中心に集められてきましたが、こうした背景の中で、日本の国立健康・栄養研究所とサントリーが共同研究を実施、赤ワインが動脈硬化を予防する科学的根拠を、世界で初めて解明しました。この研究によると、動脈硬化は血液中のLDL(低比重リポ蛋白)つまり悪玉コレステロールが酸化されることによっておこるのですが、「赤ワイン」にはこのLDLの酸化を抑えるポリフェノールという物質が豊富に含まれていることが明らかになったのです。 |
フレンチパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/19 22:05 UTC 版)
フレンチパラドックス(英: French paradox)とは、フランス人は相対的に喫煙率が高く、飽和脂肪酸が豊富に含まれる食事を摂取しているにもかかわらず、冠状動脈性心臓病に罹患することが比較的少ないという逆説的な疫学的な観察のことである[1]。フレンチパラドックスの用語は、フランスのボルドー大学の科学者であるセルジュ・ルノーによる造語である[2]。
この観察は2つの重要な可能性を示唆する。まず、飽和脂肪酸を心血管疾患に結びつけることが有効な仮説ではないということ(完全無効)。次の可能性は、飽和脂肪酸と心血管疾患は関連するが、フランスの食事習慣や生活習慣がこのリスクを緩和するということ。メディアも関心を示し、研究が行われてきた。
一般社会への影響
赤ワインが心臓疾患の発生率を減少させることを推定した、このパラドックスの説明が、1991年にアメリカ合衆国のCBS番組「60 Minutes」で放送された際には赤ワインの消費量が44%も増加し、一部のワイナリーは、ワインに健康食品の認証ラベルを付ける権利獲得のためロビー活動を始めた[3]。
状況説明
国際連合食糧農業機関 (FAO) のデータによると[4][リンク切れ]、2002年で平均的なフランス人は108g/日の動物性脂肪を消費している一方、平均的アメリカ人は72g/日しか消費していない。
フランス人は、アメリカ人に比較して4倍量のバター、60%増しのチーズ、3倍近い量の豚肉を多く食べている。フランス人の総脂肪摂取は171g/日で、アメリカ人の157g/日をわずかに上回っている程度であるが、フランス人ははるかに多くの飽和脂肪酸を消費している。 これは、アメリカ人が脂肪の多くを植物油の形で消費しており、その殆どは大豆油であることによる[5][リンク切れ]。英国心臓財団の1999年からのデータによると[6]、35-74歳の男性の虚血性心疾患による死亡率は、アメリカでは10万人あたり115人で、フランスでは10万人あたり83人である。
研究結果
2009年のシステマティック・レビューでは、トランス脂肪酸の消費と冠状動脈性心疾患(CHD)の関連の強い証拠があったが、飽和脂肪酸の消費とでは弱い証拠であり、ランダム化比較試験はまだ実施されていない[7]。
出典
- ^ Ferrieres, J. (2004). “The French Paradox; Lessons for other countries”. Heart 90 (1): 107–111. doi:10.1136/heart.90.1.107. PMC 1768013. PMID 14676260 .
- ^ B. Simini (2000). “Serge Renaud: from French paradox to Cretan miracle”. The Lancet 355 (9197): 48. doi:10.1016/S0140-6736(05)71990-5. PMID 10615898.
- ^ Drink Like the French, Die Like the French(2011年7月21日時点のアーカイブ), marininstitute.org
- ^ FAOSTAT
- ^ FAOSTAT
- ^ Tab 3.5 RSD web08: Age-standardised rate of finished consultant episodes for operations for CHD by sex and local authority, all ages and under 75 years, 2001/06, England (Table) Archived 2009年2月4日, at the Wayback Machine.
- ^ Andrew Mente; Lawrence de Koning; Harry S. Shannon; Sonia S. Anand (2009). “A Systematic Review of the Evidence Supporting a Causal Link Between Dietary Factors and Coronary Heart Disease”. Arch Intern Med 169 (7): 659–669. doi:10.1001/archinternmed.2009.38. PMID 19364995 .
https://www.docteur-hichem-mahmoud.com
参考文献
- Abdulla, A. & Badaway, B. (2001). “Moderate alcohol consumption as a cardiovascular risk factor: the role of homocycteine and the need to re-explain the ‘French Paradox’”. Alcohol & Alcoholism 36: 185–188. doi:10.1093/alcalc/36.3.185.
- Perdue, W. Lewis, et al. the French Paradox and Beyond. Sonoma, CA: Renaissance, 1993.
- Rozin, P., Kabnick, K., Pete, E., Fischler, C., & Shields, C. (2003). “The ecology of eating: Part of the French paradox results from lower food intake in French than Americans, because of smaller portion sizes”. Psychological Science 14 (5): 450–454. PMID 12930475.
関連項目
外部リンク
- How To Live Forever The Economist 3 January 2008
フレンチパラドックス
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「パラドックス」の記事における「フレンチパラドックス」の解説
フランス人は喫煙率が高く、脂肪分が多い食事をしている(とされる)にも関わらず、心筋梗塞が少ない事から。
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