フォーマット戦争の終了
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:45 UTC 版)
「HD DVD」の記事における「フォーマット戦争の終了」の解説
HD DVDの記憶容量はBDの約6割でしかなく、過去のベータマックス対VHS戦争と同じように記憶容量で劣るHD DVDは苦戦を強いられるという向きが強かった。これを打開すべく東芝はHD DVDプレーヤの大幅値下げで対抗したが、逆に海外メーカーの参入尻込みやHD DVDソフトの売れ行き不振露呈を招いてしまった。 NECエレクトロニクスは「米国では、映画ソフトでHD DVDがBDの3倍売れている。」と発言していたが、2006年末時点でBDと拮抗した。また東芝の藤井美英執行役上席常務は2006年3月にBDとの規格争いに負けたらその時は土下座すると発言、そして2006年度内100万台を販売目標とし「年末に売れてしまえばそこで決まる」と発言したが、同年末にHD DVDプレーヤーの年内販売台数が世界計で約10万台になるとの見通しを発表。その後2007年6月12日の東芝のHD DVDレコーダー発表会にて専用プレーヤーの生産台数累計が国内で1万台以下、北米で15万台であり、北米の専用プレーヤー累計シェアが6割であることが発表された。この発表会を睨んだとものと思われるキャンペーンでさらなる低価格とバンドル戦略(5本無料クーポンも別途継続)を行った結果、5月に一時的に専用プレーヤーの単月のシェアで7割程度になったことも発表。しかしこうした低価格戦略にもかかわらず、2006年末の発表時の北米の専用プレーヤー10万台から5万台しか上積みできなかった事から東芝は、2007年初めの北米プレーヤーの販売計画を180万台から下方修正し100万台とした。 2007年第1四半期のBDソフトのシェアはHD DVDの倍以上となり差を広げていった。同年の年末商戦でHD DVDの国内シェアは1割未満まで落ち込む。2008年1月頃にはドライブ開発メーカーはかつてのベータマックス対VHSの時のように勝ち馬に乗る形でBD規格に流れ、米大手映画会社のワーナー・ブラザースやスーパーマーケットチェーン大手のウォルマート等が相継いでBD支持を表明するなどBD支持の動きが広がり、HD DVD陣営は苦境に立たされた。 2008年2月16日にはNHKなどでHD DVDを主唱する東芝が撤退を検討しており、同月中にも決定を発表する見込みと報じられた。そして2月19日、東芝はHD DVD事業についての記者会見を開催。東芝社長の西田厚聰は「HD DVD事業を終息する」と正式発表し、「異なる規格が併存することによる自社事業への影響、消費者への影響の長期化をかんがみ、早期に姿勢を明確にすることが重要と判断した」と説明した。HD DVDレコーダーならびにプレーヤーの開発/生産を中止の上で出荷も縮小し同年3月末には事業を終息させる。PCやゲーム機向けのHD DVDドライブについても量産中止すると発表。出荷されたHD DVD関連製品についてはサポートを継続し、補修用部品は最低保有期間を満たす製造終了後8年間について保有しサポートするほか、HD DVDドライブを搭載した同社製ノートPCについては「今後の市場ニーズをふまえて、PC事業全体の中での位置づけを検討する」と発表、HD DVDドライブ搭載モデルの生産を打ち切った。HD DVD記録用メディアはメディアメーカーに継続した製造と販売を要請し調整を図るとした。2002年のHD DVDの誕生から6年弱(製品化からは2年弱)で第3世代光ディスクの規格争いに終止符が打たれ、BDへの完全一本化が決定した。
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