パルスシークエンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/03 17:45 UTC 版)
「核磁気共鳴分光法」の記事における「パルスシークエンス」の解説
FT-NMR においてはパルスによってコヒーレンスを生成した後、さらにパルスを当てることによりコヒーレンスをその核と相互作用のある核に移動させることができる。これを利用して測定核のある相互作用だけを取り出したり、感度を増強したりすることが可能となる。これを実現する一連のパルスの組み合わせがパルスシークエンスである。著名なパルス・シークエンスにはアクロニムによる略号があり、それによって呼称されることが多い。 APT — attached proton test 13C-NMRにおいて各炭素に結合している水素の数を決定する。 INEPT — insensitive nuclei enhanced by polarization transfer 感度の良い核から感度の悪い核への分極移動で感度を向上させる。13C-NMRにおいて各炭素に結合している水素の数を決定する。 DEPT — デプト — distorsionless enhancement by polarization transfer 感度の良い核から感度の悪い核への分極移動で感度を向上させる。INEPTの改良版。13C-NMRにおいて各炭素に結合している水素の数を決定する。 COSY — コージー — correlated spectroscopy スピン結合している核同士を決定する2次元NMR。同種核の結合を決定するものと異種核の結合を決定するもの(HETCORとも呼ばれる)がある。 DQF-COSY — double quantum filtered-COSY 二量子コヒーレンスを経由するシグナルのみを取り出すことでスピン結合のないシグナルを消去し、対角ピークの位相を吸収型にすることで対角線付近の交差ピークの検出を改善したCOSY。 HOHAHA — homonuclear Hartmann-Hahn spectroscopy ハートマン・ハーン効果によりあるシグナルからスピン結合をたどってスピンネットワークを決定する TOCSY — トクシー — total correlation spectroscopy HOHAHAを応用した2次元NMR NOESY — ノージー — nuclear overhauser enhancement and Exchange spectroscopy nOeを利用して近距離にある核同士を決定する2次元NMR。化学交換している核も決定できる。 ROESY — ロージー — rotating overhauser enhancement and exchange spectroscopy 回転系でのnOeを利用するNOESYの一種。慣性系でのnOeが小さい中程度の分子量を持つ化合物のnOe測定に利用する。 HMQC — heteronuclear multi quantum correlation 感度の良い核から感度の悪い核への分極移動を利用して感度を向上した異種核COSY。 HSQC — heteronuclear single quantum correlation HMQCと同様に感度の良い核から感度の悪い核への分極移動を利用して感度を向上した異種核COSY。 HMBC — heteronuclear multiple bond correlation 感度の良い核から感度の悪い核への分極移動を利用して感度を向上した異種核COSYで特にカップリング定数が小さい遠隔スピン結合をしている核同士のみを選択的に決定する。 INADEQUATE — イナデクエイト — incredible natural abandance double quaantum transfer experiment 同位体存在比の低い核のCOSYを測定する。 TROSY — トロージー — transverse relaxation optimized spectroscopy スピン結合で分裂したピークの中で緩和時間が長いピークのみを選択的に検出することで高分子のNMRの分解能を向上する手法。
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