TOCSY
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/09 06:37 UTC 版)
TOCSY (Total correlation spectroscopy) 実験法は、カップリングしたプロトンの交差ピークが観測されるという点でCOSY実験法と似ている。しかしながら、交差ピークは直接的にカップリングした核についてだけでなく、カップリングの連鎖によってつながった核間でも観察される。このためTOCSYはより大きな相互につながったスピンカップリングのネットワークを同定するために有用である。この能力は混合期の間に「等方性混合」を引き起こす繰り返しの一連のパルスを挿入することで達成される。より長い等方性混合時間はより遠くまで(より多い結合を通じた)分極の拡散を引き起こす。 オリゴ糖の場合、個々の糖残基は孤立したスピン系であるため、TOCSYによって特定の糖残基の全てのプロトンを区別することが可能である。TOCSYの一次元版も利用可能であり、単一のプロトンを照射することでスピン系の残りのプロトンを明らかにすることができる。この技術における最近の進歩としては1D-CSSF-TOCSY(Chemical Shift Selective Filter - TOCSY)実験法がある。これはより質の高いスペクトルを生成し、カップリング定数を確実に抽出することを可能とし、立体化学の決定を助けるために使われる。 TOCSYはHOHAHA(homonuclear Hartmann–Hahn spectroscopy)と呼ばれることがある。 2個以上の核スピンを介してつながっている核同士のクロスピークも観測できるが、どこまで遠くの核とのクロスピークが観測できるかは測定パラメータにより変わるので、測定パラメータを変えた複数のスペクトルから解析を行うことが多い。
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