ノバルティスファーマの対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:51 UTC 版)
「ノバルティス」の記事における「ノバルティスファーマの対応」の解説
この件に対するノバルティスの対応は一貫しない。日本法人であるノバルティスファーマ(以下「日本法人」とも)はこの件に関して何回かの発表を2013年にホームページで行なったが、7月29日に、それ以前の発表は全て削除した。本社のノバルティス(以下「本社」とも)でも2013年7月29日の発表を、遅くとも10月3日には消去している。 元社員の関与によるデータの不正操作や改竄に関してノバルティスファーマは、7月17日には、それらがあったかのように報道されていることは見解とは異なる、とした。不正を否定する証拠は挙げていないものの、不正を示す証拠はないことを理由とした。しかし、7月29日にノバルティスファーマは新たな発表を行った際、それまでの発表を削除した。その結果、データの不正操作・改竄に関しては、ノバルティスファーマは何も語っていない格好に、それ以降はなっている。 本社は2013年4月に、法律事務所にこの件の調査報告書の作成を依頼した。提出された報告書は英語で作成されたとされ、日本法人は一部分の日本語訳を発表した。それによると、依頼を受けたモリソン・フォースターは、論文の科学的な整合性については調査をしていない。しかし、本社は7月29日に「調査では意図的なデータの操作・捏造は発見されなかった」と発表した。その一方で本社は後にこの発表を削除しているが、削除の理由も、そもそも削除した事も発表されていない。その後は捏造を否定も肯定もしていない。報告書の提出に関する日本法人の発表では、捏造の有無に関しては特に見解を示していない。 ノバルティスは社員が研究に関与した事による利益相反の問題については認めており、事件の発覚後、「再発防止策」を発表したが、実際にはその後もそれは守られていなかった。次の「白血病薬研究(SIGN研究)への関与」の項を参照。 なお、ノバルティスの発表ではこの臨床研究を一貫して「医師主導臨床研究」(英語発表では「investigator initiated trials」)と呼んでいる。この語は、製薬会社がスポンサーで行う研究ではなく、医療機関が自ら届け出ての治験を表す。 2017年3月16日、ノバルティスファーマは、無罪判決ではあるものの、この問題の本質は医師主導臨床研究において弊社が適切な対応を取らなかったことにあるとの声明を発表。社会的、道義的責任を感じているとした。再発防止策として医師主導臨床研究の支援方法を全面的に改め、新しい研究助成方針を導入するなど多くの社内改革に取り組んでおり、企業風土・文化の改善を継続していくとしている。 2021年6月29日、最高裁の無罪判決を受け、ノバルティスはコメントを発表。「問題の本質は法的な側面にとどまらず、医師主導臨床研究で自社が適切な対応を取らなかったことにあると考えており、社会的な責任を感じている」とし、あらためて陳謝した。その上で、再発防止策として医師主導臨床研究の支援方法を改めるなど、これまで多くの社内改革に取り組んできたことに触れ、「今後も、社員一人一人が高い倫理観を持ってより一層業務に邁進できるよう、企業風土・文化の改善と向上に継続して取り組んでいく」とした。
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