ニトロセルロースラッカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/06 03:08 UTC 版)
「ラッカー」の記事における「ニトロセルロースラッカー」の解説
いわゆるエナメル塗料のひとつである。 綿などセルロースからなる繊維のニトロ化によって得られる樹脂であるニトロセルロースを含み、揮発性の高い溶媒を用いたラッカーは1920年代前期に開発され、30年にわたって自動車工業に広く用いられた。それらが導入される前は大量生産される自動車の色は限られたものであり、ジャパンブラック (Japan black) が速乾性に優れていたため最も一般的だった。 最初に新しい速乾性ニトロセルロースラッカーを使ったのは1923年のゼネラルモーターズのOakland Motor Car Companyで生産された車種である。これはデュポン社のDucoという明るい青のものだった。 このラッカーは家具をはじめとして、楽器などの木製品にも使用された。ニトロセルロースと他の樹脂、および可塑剤を溶媒に溶かして塗装を行ったため、そのたびに以前行われた塗装をいくらか溶かした。ニトロセルロースラッカーはそれまでの自動車や家具用の塗料を、使いやすさと色落ちのしにくさの両面で凌駕した。速乾性ラッカーの塗布には吹きつける方法が好んで用いられ、ニトロセルロースラッカーが開発されたことはスプレーガンの広範な利用のきっかけとなった。ニトロセルロースラッカーは非常に硬いが柔軟で耐久性の高い塗面を与え、強い輝きが出るまで磨き上げることができる。欠点としては溶媒の危険性、すなわち可燃性、揮発性と毒性、製造工程でニトロセルロースを取り扱う際の危険性が挙げられる。品質と溶解度はニトロ化の度合いと密接に関連するが、これが高すぎると爆発の危険性が高まる。経年によりラッカー面に黄ばみが発生したり、ひび割れを起こすこともある。 鉄道模型において、真鍮製のキット(ブラスキットなどとも呼ばれる)や木製部材の塗装に愛用されることがある。単にラッカーと言うと、ニトロセルロースラッカーと、後述のアクリルラッカーとを混同されることもある。区別の方法としては家庭用品品質表示法に基づく「品名」欄に「ラッカー」と表示されるものがニトロセルロースラッカーである。また、この類いをラッカーエナメルとも称し、やはり後述するアクリルラッカーにもエナメルカラーと称するものがあり、しばしば混同される。後者は「合成樹脂塗料」と表示される別物である。ニトロセルロースの場合、プラモデルに利用するとアクリルラッカーの塗料よりもプラスチックを著しく侵す。 2015年現在の主要メーカーとしては、鉄道模型用品を展開するマッハ模型が挙げられる。
※この「ニトロセルロースラッカー」の解説は、「ラッカー」の解説の一部です。
「ニトロセルロースラッカー」を含む「ラッカー」の記事については、「ラッカー」の概要を参照ください。
- ニトロセルロースラッカーのページへのリンク