ナイス_(バンド)とは? わかりやすく解説

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ナイス (バンド)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 09:33 UTC 版)

ナイス[注釈 1]The Nice)は、1960年代後半に活動したイングランド出身のロック・バンド。キーボーディストのキース・エマーソンが在籍していた事で知られ、プログレッシブ・ロックの始祖のバンドの一つに挙げられる。


注釈

  1. ^ 日本語表記にはアルバムや資料によって「ザ・ナイス」と「ナイス」があり、2007年現在のアルバム発売元であるビクター・エンタテインメントのウェブサイトは、1960年代後半に活動した時期のアルバムを「ナイス」というグループ名で分類している(ただし、同バンドは2002年に再結成してライブ・アルバムをリリースしているが、このライブ・アルバムは「キース・エマーソン&ザ・ナイス」というグループ名で分類している)。また、リットー・ミュージック刊「キース・エマーソンズ・インタビュー」では当該バンドを「ナイス」と表記している。以上の点から、主に1960年代後半における活動を解説している本項では「ナイス」というバンド名を踏襲している。
  2. ^ アーノルドは、1965年にアイク&ティナ・ターナーのバッキング・コーラス・トリオのジ・アイケッツにパット・アーノルドの名で在籍していた。その後、イギリスに移りオールダムのイミディエイト・レコードと契約を結んだ。2作目のシングル「ザ・ファースト・カット・イズ・ザ・ディーペスト」はキャット・スティーヴンスの作品で、彼女のシングルはスティ―ヴンスがこの曲を彼のセカンド・アルバムに収録する前の1967年4月に発表されて、イギリスのチャートで最高18位を記録した。このヒットを受けて、彼女はツアーに出ることになり、その為にバック・バンドが必要になった。エマーソンはザ・ヴィップスに在籍している時に、アーノルドの面倒を見ていたミッキー・ザ・オーという人物とフランスで出会い、彼からアーノルドがバック・バンドを必要としていることを聞いた。そこでイギリスに帰国した後で彼女を訪ねて、居間に置いてあったフェンダー・ローズ・ピアノを弾いたところ、感銘を受けた彼女からバック・バンドの結成を依頼されたので、数日間でメンバーを集めた。
  3. ^ バンドが結成されて、アーノルドとメンバーが揃って初めてのコンサートに向かう途中、アーノルドがスタンドアップ・コメディで有名なアメリカのロード・バックリーの科白であった"Here comes the Naz."を言ったところ、バックリーのことを何も知らないメンバーは「The Nazって何?」と聞き返した。アーノルドは「NazはNaz。貴方達がイギリスらしい名前がいいなら、The Niceにすればいい」と応えたことから、バンド名が決まった。Nazの語源はキリストの故郷ナザレ(Nazareth)で、バックリーは神の意味で用いた。
  4. ^ 彼らは、ビリー・プレストンの「Billy's Bag」や映画『荒野の用心棒』のテーマ、ビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、ボブ・デュランの「シー・ビロング・トゥ・ミー」などを演奏した。
  5. ^ Emerlist Davjackとはメンバー4人の名字から作られた造語である(Emerson, O'ListDavison, Jackson)。
  6. ^ 彼はパット・アーノルド・アンド・ザ・ナイスの時から、激しいステージ・アクションを披露していた。自伝には、アーノルドが歌う傍らでハモンドオルガンの上に乗っている写真が掲載されている。
  7. ^ 1988年にエマーソンが作詞・作曲してアルバム『スリー・トゥ・ザ・パワー』に発表した「オン・マイ・ウェイ・ホーム」は、前年に病死した彼に捧げられた曲である。
  8. ^ 原曲には歌詞があるが、ナイスのカバー曲はギターとオルガンの即興演奏を中間部に含んだインストゥルメンタル。冒頭とギター・ソロの直前に、ドヴォルザーク作曲の交響曲第九番『新世界より』第四楽章のメロディが使われた。
  9. ^ a b アメリカではEverything As Nice As Mother Makes Itとして発表された。
  10. ^ 『エマーソン・レイク&パーマー 衝撃のロック・トリオ伝』によると、エマーソンはオーケストラの導入を望んだが、ジャクソンとデヴィソンはその方法に反対した。
  11. ^ エマーソンは、ベーシスト兼ボーカリストを求めて、イエスクリス・スクワイアや元クリームジャック・ブルースを誘ったが、いずれにも断わられた。彼はスミスから内密にレイクを薦められ、フィルモア・ウエストでキング・クリムゾンと同じステージに立った直後の12月16日にレイクに秘密裏に会い、レイクとトリオを結成する決心をした。
  12. ^ 1970年1月27日から始まったイギリス・ツアーが彼らの最後のツアーとなった。2月7日のロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのコンサートで、エマーソンはマンフレッド・マンマイク・ヴィッカーズから借りたモーグ・シンセサイザーを披露した。2月10日にはツアーの合間にロサンゼルスに飛んで、NBCの企画でズービン・メータが指揮するロサンゼルス・フィルハーモニック・オーケストラと共演した。3月6日にはロイャル・フェスティバル・ホールで、イーガーが指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と共演し、エマーソンは再びモーグ・シンセサイザーを披露した。3月22日にイギリスでの最後のコンサート、3月25日に最後のBBCセッション、3月28日にドイツのハンブルクで最後のコンサートをそれぞれ行なった後、解散した。
  13. ^ 1969年10月17日のロンドンでのシンフォニア・オブ・ロンドンとの共演のライブ録音を収録。他に、スタジオ録音が一曲と1969年12月フィルモア・イーストでのライブ録音が一曲収録された。ジャケットはヒプノシスによる。旧邦題は『フェアウェル・ザ・ナイス - 組曲「五つの橋」』。
  14. ^ スタジオ録音が2曲と1969年12月のフィルモア・イーストでのライブ録音が2曲収録された。ジャケットの「砂漠に列をなして並ぶ赤い球体」はヒプノシスのデザインによる。旧邦題は『エレジー ザ・ナイス・ラスト・アルバム』。
  15. ^ ジャケットはヒプノシスによる。
  16. ^ エマーソンはELPの初期のライブではナイスの「ロンド」を頻繁に演奏し、さらに再結成した1990年代のライブでは「アメリカ」も取り上げた。
  17. ^ 1作目の『キング・プログレス』では、ナイスの「The Cry of Eugene」、3作目の『ラガマフィンズ・フール』ではナイスの「ファイヴ・ブリッジズ」組曲の第三楽章が取り上げられ、後者の改作にはエマーソンが協力した。また4作目の『バンプ・ン・グラインド』ではエマーソンがモーグ・シンセサイザーの貸し出し、音色設定で協力した。
  18. ^ 当時ジャクソン・ハイツはジャクソン以外のメンバーが相次いで脱退したので活動不能状態に陥っていた。
  19. ^ エヴリ・ウィッチ・ウェイは1971年の春に解散した。
  20. ^ 「キース・エマーソン自伝」(ISBN 978-4384057256)によると、エマーソンがモラーツから頼まれて、彼をジャクソンとデヴィソンに紹介した。"Pictures of an Exhibitionist" (ISBN-13: 9-781904-034797) の120ページと121ページには、エマーソン・レイク・アンド・パーマーがロンドンのピカデリー・サーカスにあるパビリオンでコンサートを開いた時に、モラーツがエマーソンの楽屋に押しかけてジャクソンとデヴィソンの近況を尋ねて、エマーソンを苛立たせたという回想があるが、エマーソンがモラーツを二人に紹介したとは記されてはいない。彼は、その約1年後に、ジャクソンからの電話で、二人がモラーツとトリオを形成してトニー・ストラットン・スミスのカリスマ・レコードと契約したことを知ったという。
  21. ^ 2007年に発表されたライブCD『ライヴ・イン・コンサート:ニューキャッスル・シティ・ホール・1974』では、ナイスの「ダイアモンド・ハード・ブルー・アップルズ・オブ・ザ・ムーン」が取り上げられている。
  22. ^ ディスク1はエマーソン、ジャクソン、デヴィソンの演奏によるナイスの曲を収録。ディスク2はエマーソンのピアノ・ソロを二曲と、エマーソン、デイブ・キルミンスター(G, Vo)、フィル・ウィリアムス(B)、ピート・ライリー(D)の演奏によるELPの曲を収録。ディスク3はエマーソン、ジャクソン、デヴィソンのインタビューを収録。
  23. ^ ラスト・ステージであった。
  24. ^ 別ヴァージョンやアルバム未収録のシングルなどが『オータム'67 – スプリング'68』に収録された。
  25. ^ アルバム『少年易老学難成』の収録された 「何処から来たのだろう」「陽気なフロイド」の全篇と「リトル・アラベラ」の中間部のリード・ボーカルを担当した。
  26. ^ 別ヴァージョンやアルバム未収録のシングル、未発表の音源などが『ファイブ・ブリッジズ』『エレジー』『オータム'67 – スプリング'68』などに収録された。

出典

  1. ^ a b c Eder, Bruce. The Nice Biography - オールミュージック. 2022年11月5日閲覧。
  2. ^ Harrison, Mark (2006). All About Piano: A Fun and Simple Guide to Playing Piano. Milkaukee, Wisconsin: Hal Leonard. p. 234. ISBN 9781476840956 
  3. ^ Prown, Pete; Newquist, HP (1997). Legends of Rock Guitar: The Essential Reference of Rock's Greatest Guitarists. Milwaukee, Wisconsin: Hal Leonard Corporation. p. 78. ISBN 978-0793540426. "...British art rock groups such as the Nice, Yes, Genesis, ELP, King Crimson, the Moody Blues, and Procol Harum..." 
  4. ^ Maxwell, Tom (2015年12月29日). “Lemmy dies at 70: Videos from the Motorhead icon's career.”. slate.com. The Slate Group. 2022年11月5日閲覧。 “He also schleps gear for the Nice, a proto-prog trio featuring Keith Emerson, later of Emerson, Lake and Palmer, on Hammond organ.”
  5. ^ a b Emerson (2003), p. 63.
  6. ^ Hanson (2014), pp. 39–40.
  7. ^ Emerson (2003), pp. 62–63.
  8. ^ a b c 吉田弘和 編集 『エマーソン・レイク&パーマー: 衝撃のロック・トリオ伝』(1977)新興楽譜出版社より。
  9. ^ Emerson (2003), pp. 64–65.
  10. ^ キース・エマーソン、川本聡胤(訳)『キース・エマーソン自伝』(2013年)三修社より。(ISBN 978-4384057256
  11. ^ Emerson (2003), p. 67.
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  19. ^ キース・エマーソンのザ・ナイス カリスマ在籍期アルバム3作が新規DSDマスタリング音源で紙ジャケ再発、プラチナSHM/SHM-CD /SHM〜SACDがあり”. amass (2015年5月15日). 2018年2月6日閲覧。
  20. ^ 黒田史朗著『イエス』(1979年)音楽之友社より。
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  23. ^ グレッグ・レイク、キース・エマーソンを追悼 - BARKS、キース・エマーソン、自殺の理由について恋人が語る - NME-JAPAN
  24. ^ Hanson (2014), p. 56.
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