ジャズ クラシック/ロック=ナイスとは? わかりやすく解説

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ジャズ+クラシック/ロック=ナイス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/21 10:21 UTC 版)

『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』
ザ・ナイスライブ録音を含む スタジオ・アルバム
リリース
録音
  • 1969年
  • ロンドン トライデント・スタジオ
  • ニューヨーク(ゲスト)
  • 1969年4月9日 – 10日 (1969-04-09 – 1969-04-10)
  • ニューヨーク フィルモア・イースト
ジャンル サイケデリック・ロック, プログレッシブ・ロック
時間
レーベル イミディエイト・レコード
プロデュース The Nice
専門評論家によるレビュー
AllMusic Rating link
ザ・ナイス アルバム 年表
  • (1969年 (1969)
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ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』(Nice[注釈 1] は、イングランドロックバンドザ・ナイスが1969年に発表した3作目のアルバム。

解説

経緯

ザ・ナイスは1968年11月に前作『少年易老学難成』を発表し、1969年にはロンドンのマーキー・クラブバーミンガムマザーズマンチェスター大学リーズ大学など国内で活動した後、4月から5月までアメリカ公演を行った。そして帰国後、ロンドンのトライデント・スタジオで新作アルバムを制作した。

彼等はライブ演奏について非常に高い評価を得てきたが、それまでに発表した2作のスタジオ・アルバムの売り上げは今一つだった。そこで彼等は新作の片面にライブ録音を収録した[1]

内容

オリジナルLP[注釈 2][注釈 3]には、片面にスタジオ録音が4曲、もう片面に1969年4月9日と10日のフィルモア・イーストでのコンサートからの2曲が収録された。見開きジャケットの内側にキース・エマーソンの手書きによる収録曲の解説が掲載された。

スタジオ録音の4曲のうち、オリジナルは3曲。「アズラエル・リヴィジテッド」は、イギリスでデビュー・シングル「ナイスの思想」の裏面に収録された「アズラエル」の再録音。原曲と同様にセルゲイ・ラフマニノフのピアノ曲「前奏曲 嬰ハ短調」(作品3-2)が引用され、エマーソンが調弦を変えて演奏するピアノがホンキー・トンク・ミュージックの雰囲気を醸し出している[注釈 4]。また同曲ではレニー・トリスターノの「ターキッシュ・マンボ」が引用されている。「空虚な日々の想い出」は、エマーソンが1969年の2月4日にロンドンの Institute of Contemporary Artsで[注釈 5]バイオリニストのジョン・メイヤー[注釈 6]と演奏して[2]気に入ったエドゥアール・ラロ作曲「スペイン交響曲」(作品21)第五楽章を改作し、リー・ジャクソンが歌詞をつけた。「フォー・イグザンプル」には、前半のオルガン・トリオの演奏にケニー・ホイーラーなどのロンドンのジャズ・ミュージシャン、後半のピアノ・トリオの演奏[注釈 7]ジョン・サーマンなどのニューヨークのジャズ・ミュージシャンが、現地での録音を介して参加しており[3]、後半ではザ・ビートルズの「ノルウェーの森」とミュージカルウエスト・サイド・ストーリー』の挿入歌「アメリカ[注釈 8]の一節が演奏される。「夢を追って」の原曲はアメリカのシンガーのティム・ハーディンがデビュー・アルバムTim Hardin 1(1966年)に収録した'How Can We Hang On to a Dream'である。

ライブ録音の2曲のうち、オリジナル曲の「ロンド '69'」はデビュー・アルバム『ナイスの思想』に収録された「ロンド」であり、ここでは冒頭にヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲の「イタリア協奏曲」第三楽章の最初の24小節、中間部にバッハ作曲の「トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565」の一節が演奏されている。「シー・ビロングス・トゥ・ミー」の原曲はボブ・ディランがアルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』(1965年)で発表した。1969年4月9日と10日の演奏が編集で繋ぎ合わされて収録された[1]

裏ジャケットに掲載された5枚の写真のうち、上段左のものにジャクソンと写っているのはイエスクリス・スクワイアビル・ブルーフォードである[4]

収録曲

オリジナルLP

Side One
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. 「アズラエル・リヴィジテッド Azrael Revisited」 Keith Emerson, Lee Jackson
2. 「夢を追って Hang on to a Dream Tim Hardin
3. 「空虚な日々の想い出 Diary of an Empty Day」 Emerson, Jackson
4. 「フォー・イグザンプル For Example」 Emerson, Jackson
合計時間:
Side Two
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. 「ロンド '69' Rondo '69'」(ライヴ・アット・フィルモア・イースト) Emerson, Jackson, Brian Davison
2. シー・ビロングス・トゥ・ミー She Belongs to Me」(ライヴ・アット・フィルモア・イースト) Bob Dylan
合計時間:

CD

  • ジャズ+クラシック/ロック=ナイス+2[注釈 9]
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. 「アズラエル・リヴィジテッド Azrael Revisited」 Keith Emerson, Lee Jackson
2. 「夢を追って Hang on to a Dream Tim Hardin
3. 「空虚な日々の想い出 Diary of an Empty Day」 Emerson, Jackson
4. 「フォー・イグザンプル For Example」 Emerson, Jackson
5. 「ロンド'69' Rondo '69'」 Emerson, Jackson, Brian Davison
6. シー・ビロングス・トゥ・ミー She Belongs to Me」 Bob Dylan
7. 「夢を追って Hang on to a Dream」(ボーナス・トラック、シングルA面) Tim Hardin
8. 「空虚な日々の想い出 Diary of an Empty Day」(ボーナス・トラック、シングルB面) Emerson, Jackson
合計時間:
トラックリスト
# タイトル 作詞・作曲 時間
1. 「アズラエル・リヴィジテッド Azrael Revisited」 Keith Emerson, Lee Jackson
2. 「夢を追って Hang on to a Dream Tim Hardin
3. 「空虚な日々の想い出 Diary of an Empty Day」 Emerson, Jackson
4. 「フォー・イグザンプル For Example」 Emerson, Jackson
5. 「ロンド'69' Rondo '69'」(Recorded Live at Fillmore East, New York) Emerson, Brian Davison, Jackson
6. シー・ビロングス・トゥ・ミー She Belongs to Me」(Recorded Live at Fillmore East, New York) Dylan
7. 「夢を追って Hang on to a Dream」(モノ・シングル・ミックス) Hardin
8. 「空虚な日々の想い出 Diary of an Empty Day」(モノ・シングル・ミックス) Emerson, Jackson
9. セント・トーマス St. Thomas」(BBCセッションズ) Sony Rollins
10. 「Pathetique Symphony 4th」(Live at Fairfields Hall, 1969) Unidentified
11. 「Lt. Kije (The Troika)/Rondo」(Live at Fairfields Hall, 1969) Unidentified
合計時間:

評価

全英アルバム・チャートで最高位3位を記録した[1]

参加ミュージシャン

ザ・ナイス
その他

以下のミュージシャンが「フォー・イグザンプル」に参加[3][注釈 11]

脚注

注釈

  1. ^ アメリカ盤はEverything As Nice As Mother Makes It
  2. ^ 欧米でのバンド名はThe Niceであるので、本作の原題は形容詞のniceであろう。
  3. ^ 邦題の「ジャズ+クラシック/ロック=ナイス」は「ジャズとクラシックを足してロックで割るとザ・ナイスになる」の意味で、より正確には「(ジャズ+クラシック)/ロック=ナイス」であろう。
  4. ^ 「アズラエル」は、エマーソンのハモンド・オルガンと、当時メンバーだったデヴィッド・オリストのギターが主体だった。
  5. ^ この日は複合媒体のショーが催され、ザ・ナイスが参加して、ブライアン・デヴィソンはマンフレッド・マンマイク・ハグと共演し、リー・ジャクソンは詩を朗読した。
  6. ^ インド出身の作曲家兼バイオリニスト。ザ・ナイス解散後にエマーソンが結成したエマーソン・レイク・アンド・パーマーが1977年に発表した『ELP四部作』に収録されたエマーソン作曲の「ピアノ協奏曲第一番」のオーケストラ・アレンジを協力し、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した。
  7. ^ ブライアン・デヴィソンはザイロフォンも演奏している。
  8. ^ ザ・ナイスはインストゥルメンタルのカバーを1968年7月に2作目のシングルとして発表。全米のシングル・チャートを29位まで上昇した。
  9. ^ VICP-63269。イミディエイト。SKU: 4988002495702。
  10. ^ Castle Music。CMQDD792。各トラックの作詞・作曲は本CDのライナーノーツに基づく。
  11. ^ ニューヨークのスタジオで録音。

出典

  1. ^ a b c Nice(Sanctuary, CMQDD792)のライナーノーツ。
  2. ^ Hanson (2014), p. 103.
  3. ^ a b Hanson (2014), p. 119.
  4. ^ Hanson (2014), p. 188.

引用文献

  • Hanson, Martyn (2014). Hang on to a Dream: The Story of the Nice. London: Foruli Classics. ISBN 978-1-905792-61-0 

関連項目

外部リンク




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