ELP四部作とは? わかりやすく解説

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ELP四部作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/06 05:40 UTC 版)

『ELP四部作』
エマーソン・レイク&パーマースタジオ・アルバム
リリース
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル マンティコア
プロデュース グレッグ・レイク
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 9位(英国・オフィシャルチャート)
  • 12位(米国・ビルボードチャート
  • 13位(日本・オリコンチャート[1]
  • ゴールドディスク
  • Gold(英国・BPI)
  • Gold(米国・RIAA
  • エマーソン・レイク&パーマー アルバム 年表
    レディース・アンド・ジェントルメン
    (1974年)
    ELP四部作
    (1977年)
    作品第2番
    (1977年)
    テンプレートを表示

    ELP四部作』(Works, Vol.1) は、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)が1977年に発表した二枚組アルバムである。発表当初は、特に輸入盤を購入した人々の間で、原題に片仮名を当てた「ワークス」という呼称が使われていたが、現在では国内盤CD(紙ジャケット/K2HD盤等)の帯に記載されている「ELP四部作」という日本語名が浸透している。

    解説

    製作までの経緯

    1974年のワールド・ツアー終了後、キース・エマーソンはすぐにピアノ・コンチェルトの作曲と制作にとりかかった。録音を終えグレッグ・レイクに聴かせたところプロモーションはどうするのか聞かれた。エマーソンはソロで行うと答えたが、レイクの「オーケストラを3人で使い回すのがよいのではないか」という提案をうけ、ELPのアルバムとして発表することになった。

    内容

    本作はスタジオ録音アルバムとしては1973年に発表された『恐怖の頭脳改革』以来約3年半ぶりの新作であり、ELPの初めての二枚組アルバムである。ただしELPの作品はD面に収録されている2曲だけであり、A面にはエマーソン、B面にはレイク、C面にはカール・パーマーのソロ作品が収録されている[注釈 1]。エマーソンがパーマーの「L. A. ナイツ」「タンク」に客演し、レイクがパーマーの「フード・フォー・ユア・ソウル」をパーマーと共同でプロデュースした[2]のを除いて、メンバーは他人のソロ作品には参加していない。

    A面にはエマーソンの「ピアノ協奏曲第一番」が収録された。インド出身の作曲家ジョン・メイヤーがオーケストラ・アレンジを協力して、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した。

    B面にはレイクのアコースティック・ギターとオーケストラを主体にした作品が5曲収録された。全曲がレイクとピート・シンフィールドの共作である。

    C面にはパーマーの作品が6曲収録された。「邪教の神、そして悪の精の踊り」の原曲は、セルゲイ・プロコフィエフが作曲した管弦楽曲「スキタイ組曲」の「邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り」である。「L. A. ナイツ」にはエマーソンの他、ジョー・ウォルシュがギターとシャウト・ヴォイスで参加した。「ニュー・オーリンズ」は、ELPの1974年4月のイギリス・ツアーの第一部を務めた[3]イギリスのジャズ・トリオのバック・ドアーロン・アスペリー(サクソフォーン、キーボード)とコリン・ホジキンソン(ベース・ギター)が参加。「2声のインヴェンションニ短調」の原曲はヨハン・セバスティアン・バッハ作曲の「インヴェンション第4番 ニ短調 BWV 775」である。「フード・フォー・ユア・ソウル」はイギリスのジャズ・ピアニストのハリー・サウスとの共作。「タンク」はELPのデビュー・アルバムに収録されたエマーソンとの共作のカバーである。サウスは最後の3曲の編曲も担当した[4]

    D面に収録されたELPの作品のうち、アーロン・コープランドの作品をアレンジした「庶民のファンファーレ」はELPだけで演奏され、オリジナルの「海賊」はELPとパリ国立歌劇場管弦楽団[注釈 2]の共演である。「庶民のファンファーレ」のアレンジの母体は、1976年、スイスのモントルーで当時ドリームマシンといわれた最高級ポリフォニック・シンセサイザーヤマハ・GX-1をELPで初めて試した時に生まれた[5][注釈 3]。「海賊」はエマーソンが映画[注釈 4]のサウンド・トラック用に書いた曲をELPの作品に用いたもので、彼は歌詞に傭兵を取り上げることをレイクに提案したが、レイクは傭兵よりも海賊がいいと考え、エマーソンが賛成したので、シンフィールドと二人で海賊についての本や映画を片端から集めて、三週間かかりきりで作詞した[6]

    収録曲

    オリジナルLP

    A面 ピアノ協奏曲第1番[7]
    再生時間合計 18:25
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 作曲
    1. 「a. 第1楽章:アレグロ・ジョコーソ」(First Movement: Allegro giojoso)     Keith Emerson
    2. 「b. 第2楽章:アンダンテ・モルト・カンタービレ」(Second Movement: Andante molto cantabile)     Emerson
    3. 「c. 第3楽章:トッカータ・コン・フォコ」(Third Movement: Toccata con fuoco)     Emerson
    B面[7]
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 作詞・作曲 時間
    1. 「今夜は愛の光につつまれて」(Lend Your Love to Me Tonight)     Greg Lake, Peter Sinfield
    2. 「セ・ラ・ヴィ」(C'est la Vie)     Lake, Sinfield
    3. 「願わくは、み名の尊まれんことを」(Hallowed Be Thy Name)     Lake, Sinfield
    4. 「ノーバディ・ラヴズ・ユー・ライク・アイ・ドゥ」(Nobody Loves You Like I Do)     Lake, Sinfield
    5. 「クローサー・トゥ・ビリーヴィング」(Closer to Believing)     Lake, Sinfield
    C面[7]
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 作曲 時間
    1. 「邪教の神、そして悪の精の踊り」(The Enemy God, Dances with the Black Spirits)     Sergei Prokofiev, arr. Emerson, Lake, Carl Palmer
    2. 「L.Aナイツ」(L.A. Nights)     Palmer
    3. 「ニューオーリンズ」(New Orleans)     Palmer
    4. 「2声のインヴェンションニ短調」(Two Part Invention in D Minor)     J. S. Bach, arr. Palmer
    5. 「フード・フォー・ユア・ソウル」(Food for Your Soul)     Palmer, Harry South
    6. 「タンク」(Tank)     Emerson, Palmer
    D面[7]
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 作者  時間
    1. 庶民のファンファーレ(Fanfare for the Common Man)     Aaron Copland, arr. Emerson, Lake, Palmer
    2. 「海賊」(Pirates)     Emerson, Lake, Sinfield

    CD

    Disc One
    # タイトル 作詞・作曲 名義 時間
    1. 「ピアノ協奏曲第1番 Piano Concerto No.1
    • 第1楽章:アレグロ・ジョコーソ First Movement: Allegro giojoso
    • 第2楽章:アンダンテ・モルト・カンタービレ Second Movement: Andante molto cantabile
    • 第3楽章:トッカータ・コン・フォコ Third Movement: Toccata con fuoco」
    Keith Emerson(インストゥルメンタル) キース・エマーソン
    2. 「今夜は愛の光につつまれて Lend Your Love to Me Tonight」 Greg Lake, Peter Sinfield グレッグ・レイク
    3. 「セ・ラ・ヴィ C'est la Vie」 Lake, Sinfield グレッグ・レイク
    4. 「願わくは、み名の尊まれんことを Hallowed Be Thy Name」 Lake, Sinfield グレッグ・レイク
    5. 「ノーバディ・ラヴズ・ユー・ライク・アイ・ドゥ Nobody Loves You Like I Do」 Lake, Sinfield グレッグ・レイク
    6. 「クローサー・トゥ・ビリーヴィング Closer to Believing」 Lake, Sinfield グレッグ・レイク
    合計時間:
    Disc Two
    # タイトル 作詞・作曲 名義 時間
    1. 「邪教の神、そして悪の精の踊り The Enemy God, Dances with the Black Spirits Sergei Prokofiev, arr. Emerson, Lake, Carl Palmer(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    2. 「L.Aナイツ L.A. Nights」 Palmer(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    3. 「ニューオーリンズ New Orleans」 Palmer(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    4. 「2声のインヴェンションニ短調 Two Part Invention in D Minor J. S. Bach, arr. Palmer(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    5. 「フード・フォー・ユア・ソウル Food for Your Soul」 Palmer, Harry South(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    6. 「タンク Tank」 Emerson, Palmer(インストゥルメンタル) カール・パーマー
    7. 庶民のファンファーレ Fanfare for the Common Man」 Aaron Copland, arr. Emerson, Lake, Palmer(インストゥルメンタル) エマーソン・レイク・アンド・パーマー
    8. 「海賊 Pirates」 Emerson, Lake, Sinfield エマーソン・レイク・アンド・パーマー
    合計時間:

    参加ミュージシャン

    Emerson, Lake and Palmer
    • Keith Emerson – キーボード(A面とD面、「L. A. ナイツ」)
    • Greg Lake – ベース・ギター、ボーカル, ギター(B面とD面)
    • Carl Palmer – ドラムス, パーカッション(C面とD面)
    その他

    評価

    イギリスでは最高9位、アメリカでは最高12位を獲得した。ELPのアルバムでトップ10入りを果たした最後のものである。

    また、「庶民のファンファーレ」が3分程度に編集されてシングル・カットされ、イギリスのシングル・チャートの2位まで上昇して、ELP最大のヒット曲となった。

    脚注

    注釈

    1. ^ CDは2枚組で、ディスク1にエマーソンとレイクのソロ作品、ディスク2にパーマーのソロ作品とELPの作品が収録された。
    2. ^ 指揮はGodfrey Salmon。
    3. ^ エンジニアが偶然2トラックで録音していた。
    4. ^ フレデリック・フォーサイスの小説『戦争の犬たち』に基づいた映画で、プロデューサーはノーマン・ジュイソンだった。

    出典

    1. ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.93
    2. ^ Macan (2006), p. 379.
    3. ^ Macan (2006), p. 333.
    4. ^ Macan (2006), p. 673.
    5. ^ Macan (2006), p. 380.
    6. ^ Macan (2006), p. 385.
    7. ^ a b c d Amazon|ELP四部作|エマーソン・レイク・アンド・パーマー|ロック|音楽”. 2018年4月14日閲覧。

    引用文献

    • Macan, Edward (2006). Endless Enigma: A Musical Biography of Emerson, Lake and Palmer. Chicago and La Salle: Open Court. ISBN 978-0-8126-9596-0 



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