ドン・ジョヴァンニの回想とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > ドン・ジョヴァンニの回想の意味・解説 

リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想(モーツァルト)

英語表記/番号出版情報
リスト「ドン・ジョヴァンニ」の回想モーツァルトRéminiscences de 'Don Juan' S.418 R.228作曲年1841年 

作品解説

2007年10月 執筆者: 和田 真由子

リスト「ドン・ジョヴァンニ」の回想 / Reminiscences de 'Don Juan' S.418

モーツァルト傑作オペラドン・ジョヴァンニ》の主題による編曲作品1841年リスト30歳のときに作曲しデンマークの王、クリスチャン8世献呈された。大きく三つ部分からなり騎士長のテーマドン・ジョヴァンニとツェルリーナの二重奏お手をどうぞ』、騎士長のテーマと、ドン・ジョヴァンニアリアシャンパンの歌』が絡み合った部分にわけられる
この曲の場合原曲をすべて忠実に再現したというよりは、旋律引用しながら、それらがリストによって再構築された形になっている

跳躍し連続するオクターブめまぐるしく動き回る音階圧倒的な音響など、難曲中の難曲ともいえるヴィルティオーゾ作品である。たたみかけるように繰り広げられる名人芸は、まさに見物である。また、リストによって1877年に二台のピアノ用の編曲なされており、華やかな演奏効果をあげている。

第1部分:冒頭ドン・ジョバンニによって殺され騎士長の呪いテーマ重々しく鳴り響くおどろおどろしく上下激しくはしりまわる音階は、騎士長の復讐暗示する

第2部分:第一部分とは一変して明る雰囲気をもつ。ドン・ジョバンニとツェルリーナの二重奏お手をどうぞ』が甘くたっぷりと歌われる。ほぼ忠実な形で再現される。そしてこの主題は、さらに華麗な装飾をみせながら変奏展開される

第3部分:ふたたび騎士長の呪いメロディがきかれる。場面ドン・ジョバンニは、騎士長の亡霊晩餐招待するシーン騎士長の不気味なテーマとの絡み効果的にみせながら、ドン・ジョバンニの『シャンパンの歌』で息をつく間もないほど圧倒的なフィナーレ形成する


「ドン・ジョヴァンニ」の回想

(ドン・ジョヴァンニの回想 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 07:45 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Réminiscences de Don Juan, S418/R228 - マルカンドレ・アムラン(ピアノ)の演奏、Naxos of America提供のYouTubeアートトラック。
Réminiscences de Don Juan, S. 656(二台ピアノ版) - ジェノヴァ&ディミトロフ・ピアノ・デュオ英語版による演奏、Naxos of America提供のYouTubeアートトラック。

「ドン・ジョヴァンニ」の回想Réminiscences de Don Juan, サール番号S.418)は、フランツ・リストが作曲(編曲)したピアノ曲。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』からいくつかの旋律を抜き出し、再構成したパラフレーズ作品である。

概要

1841年に作曲され、1843年に出版、デンマーク王クリスチャン8世に献呈された。

リストのオペラ・パラフレーズの代表作として古くから知られる一方、難曲としても知られており、フェルッチョ・ブゾーニは「ピアニズムの頂点をなすものとして、象徴的な意味を持つ」、ゲンリフ・ネイガウスは「正確に弾きこなすことができるのは、ギンスブルクを除けばピアノラのみだろう」と述べている。また、アレクサンドル・スクリャービンは本曲と《イスラメイ》を練習中に右手を故障している。

リスト自身によって、1877年二台ピアノ用編曲(S.656)が作られている。またブゾーニが1918年に校訂した版には、経過的なパッセージのカットを含む大小の変更が記されており、これが「ブゾーニ版」として演奏される場合もある。

リストは1842年から43年にかけて『フィガロの結婚』と『ドン・ジョヴァンニ』の主題による《フィガロとドン・ジョヴァンニの主題による幻想曲英語版》S.697の作曲を試みたが未完に終わった。ブゾーニとレスリー・ハワードが補筆・校訂している。ブゾーニ版では『ドン・ジョヴァンニ』の主題がカットされ、大幅に短縮されている。

楽曲構成

グラーヴェ、ニ短調、4/4拍子。オペラの第二幕、墓地にて騎士長がドン・ジョヴァンニに警告する場面の音楽("Di rider finirai pria dell'aurora")から始まる。続いてオペラの終盤、騎士長が食事の席に現れる場面の音楽("non si pasce di cibo mortale")が用いられ、重苦しい雰囲気で音楽は進んでいく。この場面では半音階の急速なパッセージが吹き荒れ、騎士長の復讐心を暗示する。

アンダンティーノ、イ長調、2/4拍子となると、オペラ第一幕の二重唱「お手をどうぞ」("Là ci darem la mano")が穏やかに現れる。カデンツァをはさみつつ、この主題による二つの変奏が続く。第1変奏は6連符を中心に扱い、様々な技巧が披歴される。第2変奏は対位法的な処理から始まるが、騎士長の音楽がふたたび現れる("Tu m'invitasti a cena")と半音階のパッセージが支配するようになり、主題は展開風に扱われる。

主題を予示する間奏を挟んで、プレスト、変ロ長調で第一幕のドン・ジョヴァンニのアリア「シャンパンの歌」("Fin ch'han dal vino")が軽快に現れる。この主題は3回繰り返され、次第に華やかに奏されるようになる。そのまま華麗なコーダに至るが、終結の直前に騎士長の音楽が変ホ短調で三たび現れ、オペラの結末を暗示する(前述のブゾーニ版ではこの部分は省かれている)。

要求される演奏技巧は幅広い跳躍、オクターヴの連続、急速な三度重音アルペジオスケールなど多岐にわたる。

参考文献

Leslie Howard "The complete music for solo piano, Vol. 6 – Liszt at the Opera I" (Hyperion, CDA66371/2) のCD解説 (Leslie Howard, 1990)

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドン・ジョヴァンニの回想」の関連用語

ドン・ジョヴァンニの回想のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドン・ジョヴァンニの回想のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの「ドン・ジョヴァンニ」の回想 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS