「ドン・ジョヴァンニ」の回想とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 「ドン・ジョヴァンニ」の回想の意味・解説 

「ドン・ジョヴァンニ」の回想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/24 07:45 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Réminiscences de Don Juan, S418/R228 - マルカンドレ・アムラン(ピアノ)の演奏、Naxos of America提供のYouTubeアートトラック。
Réminiscences de Don Juan, S. 656(二台ピアノ版) - ジェノヴァ&ディミトロフ・ピアノ・デュオ英語版による演奏、Naxos of America提供のYouTubeアートトラック。

「ドン・ジョヴァンニ」の回想Réminiscences de Don Juan, サール番号S.418)は、フランツ・リストが作曲(編曲)したピアノ曲。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』からいくつかの旋律を抜き出し、再構成したパラフレーズ作品である。

概要

1841年に作曲され、1843年に出版、デンマーク王クリスチャン8世に献呈された。

リストのオペラ・パラフレーズの代表作として古くから知られる一方、難曲としても知られており、フェルッチョ・ブゾーニは「ピアニズムの頂点をなすものとして、象徴的な意味を持つ」、ゲンリフ・ネイガウスは「正確に弾きこなすことができるのは、ギンスブルクを除けばピアノラのみだろう」と述べている。また、アレクサンドル・スクリャービンは本曲と《イスラメイ》を練習中に右手を故障している。

リスト自身によって、1877年二台ピアノ用編曲(S.656)が作られている。またブゾーニが1918年に校訂した版には、経過的なパッセージのカットを含む大小の変更が記されており、これが「ブゾーニ版」として演奏される場合もある。

リストは1842年から43年にかけて『フィガロの結婚』と『ドン・ジョヴァンニ』の主題による《フィガロとドン・ジョヴァンニの主題による幻想曲英語版》S.697の作曲を試みたが未完に終わった。ブゾーニとレスリー・ハワードが補筆・校訂している。ブゾーニ版では『ドン・ジョヴァンニ』の主題がカットされ、大幅に短縮されている。

楽曲構成

グラーヴェ、ニ短調、4/4拍子。オペラの第二幕、墓地にて騎士長がドン・ジョヴァンニに警告する場面の音楽("Di rider finirai pria dell'aurora")から始まる。続いてオペラの終盤、騎士長が食事の席に現れる場面の音楽("non si pasce di cibo mortale")が用いられ、重苦しい雰囲気で音楽は進んでいく。この場面では半音階の急速なパッセージが吹き荒れ、騎士長の復讐心を暗示する。

アンダンティーノ、イ長調、2/4拍子となると、オペラ第一幕の二重唱「お手をどうぞ」("Là ci darem la mano")が穏やかに現れる。カデンツァをはさみつつ、この主題による二つの変奏が続く。第1変奏は6連符を中心に扱い、様々な技巧が披歴される。第2変奏は対位法的な処理から始まるが、騎士長の音楽がふたたび現れる("Tu m'invitasti a cena")と半音階のパッセージが支配するようになり、主題は展開風に扱われる。

主題を予示する間奏を挟んで、プレスト、変ロ長調で第一幕のドン・ジョヴァンニのアリア「シャンパンの歌」("Fin ch'han dal vino")が軽快に現れる。この主題は3回繰り返され、次第に華やかに奏されるようになる。そのまま華麗なコーダに至るが、終結の直前に騎士長の音楽が変ホ短調で三たび現れ、オペラの結末を暗示する(前述のブゾーニ版ではこの部分は省かれている)。

要求される演奏技巧は幅広い跳躍、オクターヴの連続、急速な三度重音アルペジオスケールなど多岐にわたる。

参考文献

Leslie Howard "The complete music for solo piano, Vol. 6 – Liszt at the Opera I" (Hyperion, CDA66371/2) のCD解説 (Leslie Howard, 1990)

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「「ドン・ジョヴァンニ」の回想」の関連用語

「ドン・ジョヴァンニ」の回想のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



「ドン・ジョヴァンニ」の回想のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの「ドン・ジョヴァンニ」の回想 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS