ドム_(民族)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ドム_(民族)の意味・解説 

ドム (民族)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/10 01:33 UTC 版)

ドム
(約2,158,400 [1])
居住地域
中東北アフリカ
 エジプト 1,080,000 [1]
 トルコ 500,000
 インド 202,000[2]
 アフガニスタン 100,000
 イラン 80,000[1]
 イラク 50,000
 シリア 37,000[2]
 リビア 33,000
 チュニジア 30,000
 アルジェリア 30,000
 モロッコ 30,000
 スーダン 20,000–50,000
 ヨルダン 25,000
 パレスチナ 7,200[1]
 レバノン 7,000
 イスラエル 2,000[2]
 キプロス 1,200
 バングラデシュ 2,000
 アルメニア 1,000
 ジョージア 1,000
 アゼルバイジャン 1,000
 ロシア 500[2]
 クウェート 500
言語
ドマリ語ペルシャ語アラビア語アゼルバイジャン語クルド語トルコ語パシュトー語シリア語ヘブライ語アルメニア語
宗教
イスラム教キリスト教
関連する民族
ロマロム、ドンバ、その他のインド・アーリア人

中東北アフリカコーカサス中央アジアインドドム(Dom、アラビア語: دومي‎ / ALA-LC: Dūmī , دومري / Dūmrī ; エジプト・アラビア語: هناجرهHanagra ドマドミとも呼ばれる)は、インド・アーリア系民族である。

文化

ドムは昔からの言い伝えを持ち、彼らの文化および歴史音楽踊りによって表現する。当初、ドムはロマから分岐した集団であると考えられていたが、ドマリ語の近年の研究は彼らがインド亜大陸からより早くに(おそらく6世紀頃[3][出典無効])出発したことを示唆している[4]

世界的に使われているジプシーの自称は「Rrom」であった[5]が、これはロマ語で「人間」を意味する。ロマやドム、ロムなどの単語は、6世紀に分かれたロマ人を表現するために使われていた。複数の部族が西ヨーロッパに移動してロマと呼ばれたが、ペルシャやトルコに残った者たちはドムと呼ばれた[6]

さまざまなドムの亜集団の中で、ガワジーが踊りや音楽によって最も著名である。ガワジーの踊り子はエジプトでのラクス・シャルキー英語版様式の発展と結び付いており、これは最終的には西洋のベリーダンスに繋がっている。

分布

推定220万人の大半がトルコエジプトイランに居住しており、アフガニスタンイラクにもかなりの数がいる。少数がリビアチュニジアアルジェリアモロッコヨルダンシリア、その他の中東諸国に居住している。

一部のドムは国勢調査から除外されたり、その他はドム以外に自分自身を分類したりしているため、実際の人口は不明である。今日、ドムは居住地域の多数派の主流言語を話すが、ドマリ語もより排他的なコミュニティーでは話され続けている。イラン人やアフガン人は、ドムのことをgurbatiあるいはkouli(どちらも「よそ者」の意)と呼ぶ。

イラン南東部のバルーチ地方で見られるドムの集団はロリである。ドムはパキスタン実効支配するギルギット・バルティスタン州チトラル、スワート、コヒスタン、ラダック地域にも少数が居住している。ギルギットでは、ドムは同じく音楽家、鍛冶屋であり、同様の単純労働を行うKameenやMonsと一体となっている。

ヨルダンにはドムの大きな集団が存在する。研究者らは、ドムが真のアイデンティティーを明らかにするとアラブ社会に受け入れられないため、「ドムは自らの民族としての独自性を隠すことによってアラブ民族主義に適応している」と主張している[7]

脚注

  1. ^ a b c d Thomas A. Acton; Donald Kenrick and Allen Williams (2005年5月). “Dom Population Chart”. DOM Research Centre – Middle East and North Africa Gypsy Studies. Dom Research Center. 2012年12月26日閲覧。
  2. ^ a b c d BOERGER, Brenda H.; Lewis, M. Paul (ed.) (2009–2012). “Domari A language of Iran”. Ethnologue: Languages of the World, Sixteenth edition. SIL International (formerly known as the Summer Institute of Linguistics). 2012年12月26日閲覧。
  3. ^ Ian Hancock (2007–2008). “ON ROMANI ORIGINS AND IDENTITY”. RADOC. RADOC The Romani Archives and Documentation Center The University of Texas at Austin. 2012年12月26日閲覧。
  4. ^ Professor Yaron Matras (2012年12月). “Domari”. [romani] project. School of Languages, Linguistics and Cultures The University of Manchester. 2012年12月26日閲覧。
  5. ^ アーカイブされたコピー”. 2008年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月10日閲覧。
  6. ^ Donald Kenrick (2004). Gypsies: From the Ganges to the Thames. Univ of Hertfordshire Press. pp. 24–. ISBN 978-1-902806-23-5. https://books.google.co.jp/books?id=df2mIOnbrDoC&pg=PA24&redir_esc=y&hl=ja 2012年12月26日閲覧。 
  7. ^ Gypsies and the problem of identities: contextual, constructed and contested, Volume 2003, Volume 17 of Transactions S, Volume 17 of Transactions (Svenska forskningsinstitutet i Istanbul), Gypsies and the Problem of Identities: Contextual, Constructed and Contested, by Adrian Marsh, Elin Strand, Svenska forskningsinstitutet i Istanbul, editors Adrian Marsh, Elin Strand, published by Swedish Research Institute in Istanbul, 2006, p. 207 [1]

関連項目

外部リンク


「ドム (民族)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドム_(民族)」の関連用語

ドム_(民族)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドム_(民族)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドム (民族) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS