デング熱の世界的流行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/24 04:42 UTC 版)
「デング熱の流行」の記事における「デング熱の世界的流行」の解説
多くのアルボウイルスと同様にデングウイルスは、吸血媒介動物や脊椎動物宿主の周りに自然と集まる。ウイルスは、メスのヤブカ(ネッタイシマカ以外の種)から、その子孫や下等霊長類へと伝播することで、東南アジアやアフリカの森林に留まる。ウイルスがいる農村部では、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどその他のヤブカの種によって、ウイルスがヒトへと伝播する。都市部では、家屋に潜むネッタイシマカによって、主にウイルスがヒトへと伝播する。下等霊長類やヒトが感染した場合、伝播するデングウイルスの数は大幅に増加する。これを遺伝子増幅と呼ぶ。 ヒトへの感染にとって、最も大きな脅威となっているのは、都市におけるデングウイルスの寄生と感染のサイクルであり、このため、デング熱感染症は、主に町や都市に限られている。ここ数十年で、流行地域の村、町、都市が拡大し、ヒトの移動が増加したことによって、ウイルスの流行と伝播するウイルスの数が増え続けている。 デング熱は、かつて東南アジアに限定されていたが、現在は中国南部、太平洋やアメリカ諸国にまで広まっている。シンガポールでは毎年4000-5000件のデング熱、ないしデング出血熱が報告される。2004年にはデングショック症候群により7人が死亡した。2007年雨季にはアンコール遺跡観光拠点の町シェムリアプなどで主に子供を中心として流行が認められた。 2007年10月、中華民国(台湾)南部の台南市において511人の感染が報告された。特に2010年はインドネシアが79例(うち51例がバリ島)で、その他インド、フィリピン、タイでの感染事例が多く報告された。 ハワイ州では、1940年代にネッタイシマカが根絶されてデング熱も60年間発生していなかったが、2001から2002年にかけて流行し、122人の患者が発生した。2014年にはフィジーにおいても発症が広まり1万人以上が感染し11人が死亡した。他にもアメリカ合衆国の南部、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、サモアなどで感染事例が報告されている。 デング熱は、さらにヨーロッパにまで脅威をもたらす可能性がある。
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