ダイナマイト砲巡洋艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 02:08 UTC 版)
「ダイナマイト砲」の記事における「ダイナマイト砲巡洋艦」の解説
アメリカ海軍では、1890年に口径15インチ3連装ダイナマイト砲1基を主兵装としたダイナマイト砲巡洋艦のヴェスヴィアス(英語版) (Vesuvius) が竣工した。 垂直船首を有した平甲板型の船体はクルージングヨット風で、防御装甲は皆無。全長は76.9メートル。排水量945トンと大変小型ながらも砲艦ではなく巡洋艦とされたのは、この武装と最大20ノットが出る高い巡航性能のお陰である。他の備砲は3ポンド速射砲3門であった。 1898年のスペインとの戦争で使用されたが、主砲は前甲板に仰角18°で固定されているため、照準は船体を目標へ向ける必要があった。射程の加減は吹き込む圧縮空気の調整で行う。無論、間接照準射撃のみで直射はできない。その砲身は上甲板から中甲板を貫いて下甲板にまで達する長大な物だった。総重量445.5キログラム(炸薬量ダイナマイト227キログラム)の砲弾は一門に付き10発、全部で30発搭載されていた。 実戦においてヴェスヴィアスのダイナマイト砲は、キューバのサンチャゴ市街地へ向かって砲撃を行った。目標の市街地には命中、スペイン側は原因不明の大爆発に驚愕したとされる。しかし、やはりダイナマイトの威力が拡散して被害は少なく、実戦での効果が今一つということもあって同種の艦は建造されず1隻で打ち切られ、同艦からもダイナマイト砲は撤去されて水雷練習艦へ艦種が変更されてしまった。 なお、ダイナマイト砲はアメリカ海軍で最初に就役した潜水艦のSS-1ホランドにも、8インチ(203ミリ)単装砲1門が搭載されていた。
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