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菱亜鉛鉱

(スミソナイト から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/01 14:01 UTC 版)

菱亜鉛鉱
ケリー鉱山英語版アメリカ合衆国ニューメキシコ州ソコロ郡)産出の標本
分類 炭酸塩鉱物
シュツルンツ分類 5.AB.05
Dana Classification 14.1.1.6
化学式 ZnCO3
結晶系 三方晶系
対称 3 2/m
単位格子
  • a = 4.6526(7) Å
  • c = 15.0257(22) Å
  • Z = 6
モル質量 125.40 gm
晶癖 結晶状は珍しく、一般的にぶどう状、腎臓形、球晶状、鍾乳石状
双晶 存在しない
へき開 完全
断口 不規則、貝殻状
粘靱性 小さい
モース硬度 4.5
光沢 ガラス光沢、まれに真珠光沢
条痕 白色
透明度 Translucent
比重 4.4 - 4.5
光学性 一軸性
屈折率
  • nω = 1.842 - 1.850
  • nε = 1.619 - 1.623
複屈折 δ = 0.223 - 0.227
蛍光 紫外線下で蛍光のパールグリーンか、パールブルー
文献 [1][2][3]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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菱亜鉛鉱(りょうあえんこう、: smithsonite[4]スミソナイト)は、鉱物炭酸塩鉱物)の一種。化学組成は ZnCO3炭酸亜鉛)、結晶系三方晶系方解石グループの鉱物。

smithsonite の名前は、1832年鉱物学者François Sulpice Beudant によって、菱亜鉛鉱を最初に見分けたジェームズ・スミソンにちなんで命名された[2]

産出地

亜鉛が埋蔵され、風化酸化還元反応が行われる地域で二次鉱物として産出する。また、まれに亜鉛を含んだ炭酸塩岩の中でも産出する。

一般的に、異極鉱珪亜鉛鉱水亜鉛土英語版白鉛鉱英語版孔雀石藍銅鉱水亜鉛銅鉱硫酸鉛鉱などとともに産出する[3]

どこか特定の地域に偏在しているわけではなく、世界各地で産出される。後述の通り、色にバリエーションがある鉱物であるが、産地によって鉱物の色が異なる。[5]

例えば、以下の国で産出される。

アメリカ合衆国メキシコイタリアオーストリアドイツベルギーフランススペインイギリスアルジェリアチュニジアナミビアオーストラリア中国日本[5]

日本の菱亜鉛鉱の産地

日本では以下の43か所で産出される[6]

産地 別名 発見年 備考
神岡鉱山 岐阜 1885年 閉山・日本の地質百選
茂住鉱山 神岡鉱山 岐阜 1886年 閉山
細倉鉱山 高田鉱山 宮城 1897年 閉山・近代化産業遺産群33
倉谷鉱山 石川 1899年 閉山
荒川鉱山 秋田 1908年 閉山
日三市鉱山[7] 秋田 1908年 閉山
日影鉱山 鹿児島 1908年 大谷鉱山と合併
亀ヶ谷鉱山[8] 笹尾鉱山 富山 1908年 閉山
練股鉱山 福井 1908年
長登鉱山 山口 1913年 閉山
葡萄鉱山 朝日鉱山 新潟 1930年
大和鉱山 於福鉱山 山口 1932年
院内鉱山 秋田 1932年
魚見鉱山 福井 1933年
坂東島鉱山 福井 1933年
花ノ山鉱山 大田鉱山 山口 1936年
喜多平鉱山 北平鉱山 山口 1947年
河東鉱山 田島鉱山 福岡 1955年
対州鉱山 佐須鉱山 長崎 1958年
土呂久鉱山 外録鉱山 宮崎 1958年
大吹鉱山 宮崎 1959年
秩父鉱山 赤岩鉱山 埼玉 1961年
亀山盛鉱山 秋田 1970年
大谷鉱山 鹿児島 1970年
七里沢鉱山 三晃鉱山・三泰鉱山 宮城 1972年
船岡鉱山 京都 1974年
石部鉱山 松籟山 滋賀 1978年
五加鉱山 岐阜 1979年
黒川鉱山 岐阜 1979年
山宝鉱山 岡山 1980年
円山鉱山 北海道 1982年
灰山 滋賀 1985年
扇平鉱山 岡山 1986年
見立鉱山 宮崎 1997年
木浦鉱山 大分 1999年 閉山
平尾鉱山 大阪 2001年
発盛鉱山 椿鉱山・ 八盛鉱山 秋田 2004年
瀬波 白山 石川 2006年
野門鉱山 栃木 2013年
銅ヶ丸鉱山[9] 島根 2021年

性質・特徴

様々なのものが存在する菱面体晶鉱物で、よく形成された結晶が見られることはごくまれである。代表的な形状は、ぶどう状、皮膜状の形である。モース硬度は4.5で、比重は4.4 - 4.5。方解石グループ特有の三方向に完全な劈開は弱くなっている。塩酸などの酸によく溶けて二酸化炭素を放出する。

菱マンガン鉱菱鉄鉱固溶体を形成する[3]。純粋なものは無色・白色だが、亜鉛イオンが大きいため、結晶構造に隙が生じ、(緑、青緑)、カドミウム(黄)、コバルト(ピンク)などのイオンが入り込んで多彩な色彩を呈する。

異極鉱と類似しており、2種類の異なる鉱物であると理解されるまでは、歴史的に同じものとして鑑定されていた。これらの2種は外観が非常に似ており、カラミンという名称は、いまだに両方に使われており、時に混乱を引き起こす。

用途・加工法

亜鉛鉱石の一つ。

ギャラリー

脚注

  1. ^ Smithsonite (英語), MinDat.org, 2011年11月17日閲覧
  2. ^ a b Smithsonite (英語), WebMineral.com, 2011年11月17日閲覧
  3. ^ a b c Handbook of mineralogy” (PDF) (英語). 2011年11月17日閲覧。
  4. ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、113頁。 ISBN 4-8181-8401-2 
  5. ^ a b Smithsonite Value, Price, and Jewelry Information”. 国際宝石学会 (IGS). 2022年11月23日閲覧。
  6. ^ 日本の菱亜鉛鉱の産地”. NariNari@鉱物データベース (2021年). 2025年5月1日閲覧。
  7. ^ 日三市(ひさいち)鉱山跡”. 秋田県あきた未来創造部 地域づくり推進課 (2012年5月). 2025年5月1日閲覧。
  8. ^ 富山県上新川郡亀ケ谷鉱区鉛・亜鉛鉱床調査報告”. 産業総合研究所. 2025年5月1日閲覧。
  9. ^ 銅ヶ丸鉱山”. 鳥取大学. 2025年5月1日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク




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