スウェーデン語の文法とは? わかりやすく解説

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スウェーデン語の文法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/11 13:44 UTC 版)

この記事ではスウェーデン語の文法を解説する。

スウェーデン語古ノルド語を起源としている。古ノルド語と比較すると、スウェーデン語の語形変化は著しく簡素化している。現代スウェーデン語には2つのがあり、人称や数に基づく動詞の活用は存在しない。(代名詞には格変化が残存するものの)名詞においては、古ノルド語で文法上の主語と目的語を示していた主格対格の形態上の区別は失われ、に代わり語順によって文法関係が示されるようになっている。名詞、形容詞、動詞には語尾変化が用いられる。V2語順SVO型(主語・動詞・目的語)言語である。

名詞

名詞文法性として共性と中性の2つの区別を持つ。スウェーデン語の名詞の約4分の3は共性である。形容詞が名詞を修飾するときは、この名詞の文法性にあわせて形を変える。共性名詞は、歴史的に男性名詞と女性名詞の区別がなくなり合流したもので、古くは文法性は男性・女性・中性の3つがあった。現在も男性と女性の区別は古風な言い回しや方言、一部の表現に残る。また共性と中性のどちらかに定まっていない名詞もある。

名詞の変化は、現代のスウェーデン語ではほぼ失われている。古ノルド語やドイツ語に見られるような主格属格与格対格の4格の区別はなくなり、主に語順によって文法関係が示される。 ただし、所有(「~の」)を示す -s は、属格のなごりとして名詞の語尾に付加される。このため、現代スウェーデン語の名詞の格は、-s のつかない「基礎形(共通格)」と -s のつく「所有格(属格)」の2種類があるとみなされるか、あるいは格変化は存在しないものとして扱われる。

冠詞と定性

スウェーデン語の名詞は、特定されているか(定)、特定されていないか(不定)によって形を変える(定性)。

不定冠詞と不定形

不定冠詞は、単数形の名詞の前に置かれ、名詞が不特定であることを示す。共性名詞には en、中性名詞には ett を用いる。

  • en flaska (一本のビン)
  • ett brev (一通の手紙)

不定冠詞がつかない形(無冠詞)も不定形と呼ばれる(例:複数不定形 flaskor)。

後置冠詞と定形

定冠詞に相当する機能は、主に名詞の後ろにつける接辞(後置冠詞)によって示される。この接辞がついた形を定形と呼ぶ。定形は、文脈上すでに特定されているもの(既出、唯一無二など)を指すのに用いられる。

後置冠詞は、名詞の性・数・語尾によって形が変わる。

  • 共性単数: -en または -n (例:flaskan (そのビン), hunden (その犬))
  • 中性単数: -et または -t (例:brevet (その手紙), huset (その家))
  • 複数: -na, -a, または -en
    • (第1・2・3変化 →) -na (例:flaskorna, hundarna, parkerna)
    • (第4変化 →) -na (例:äpplena)
    • (第5変化 →) -en (例:breven)

形容詞が名詞を修飾する場合の冠詞の用法(二重の定性)については、#形容詞の節を参照。

名詞の複数形

名詞には単数形複数形の区別があり、複数形の作り方(複数不定形の語尾)によって伝統的に以下の5種類の語形変化(曲用)に分類される。

スウェーデン語の名詞の複数形(5つの曲用)
変化 複数語尾 主な対象となる名詞(性・単数形の語尾など) 単数形(例) 複数形(例)
第一変化 -or 主に単数形が -a で終わる共性名詞。
(一部 -a で終わらない共性名詞も含む)
(en) flicka (少女)
(en) våg (波)
flickor
vågor
第二変化 -ar -a 以外で終わる共性名詞の多く。
(単数形が -e, -ing, -dom などで終わる語の多く)
(en) hund (犬)
(en) pojke (少年)
(en) tidning (新聞)
hundar
pojkar
tidningar
第三変化 -er
(-r)
共性名詞および一部の中性名詞。
(借用語や特定の接尾辞 -else, -het などを持つ語)
(母音で終わる一部の名詞は -r のみをとる)
(en) växt (植物)
(ett) museum (博物館)
(en) sko (靴)
växter
museer
skor
第四変化 -n 単数形が母音で終わる中性名詞。 (ett) äpple (リンゴ)
(ett) bi (蜂)
äpplen
bin
第五変化 (無変化)
(単複同形)
主に単数形が子音で終わる中性名詞。
特定の接尾辞(-are, -iker, -ier)で終わる共性名詞。
(ett) barn (子ども)
(ett) hus (家)
(en) lärare (教師)
barn
hus
lärare

一部の語では上のような規則によらない複数形を用いる。

  • faktum(事実)/fakta(ラテン語からの借用語の中にはスウェーデン語の複数形によらずラテン語の複数形を用いるものがある)
  • mus (ねずみ)/ möss(ウムラウトを起こす)

所有形

所有形を作るには名詞に-sをつける。-sで終わる名詞の場合は、無変化(またはアポストロフィのみを付加する: hus' )とし、-sを重ねてつけない。(例:hus (家) /hus(家の)) この所有形の-sは、英語の-'sと同様に付加詞(clitic)として振る舞い、名詞句全体の最後の語(その語が名詞本体でなくても)につけることができる(例:Mannen som står därbortas hatt:そこに立っている男の帽子)。-sは属格に由来するが、このような振る舞いから、現代語では格語尾とはみなされないことが多い。

名詞の語形変化の例

以下に、5つの変化(曲用)の主なパターンの例を示す。各表には、不定形(無冠詞)、定形(後置冠詞)、および所有格(-s)の単数・複数の形を示す。

第一変化: -or (共性)

単数 複数
不定形 (en) flaska (ビン) flaskor
定形 flaskan flaskorna
所有格不定形 flaskas flaskors
所有格定形 flaskans flaskornas

第二変化: -ar (共性)

単数 複数
不定形 (en) stol (イス) stolar
定形 stolen stolarna
所有格不定形 stols stolars
所有格定形 stolens stolarnas

第三変化: -er, -r (多くは共性、一部に中性)

単数 複数
不定形 (en) sak (事がら) saker
定形 saken sakerna
所有格不定形 saks sakers
所有格定形 sakens sakernas
単数 複数
不定形 (ett) parti (政党) partier
定形 partiet partierna
所有格不定形 partis partiers
所有格定形 partiets partiernas

研究者によっては-rを-erと異なる独立した複数形とすることもあるが、伝統的に-erの亜種とみなされている。(例:en bakelse / bakelser)

第四変化: -n (中性)

単数 複数
不定形 (ett) hjärta (心臓) hjärtan
定形 hjärtat hjärtana
所有格不定形 hjärtas hjärtans
所有格定形 hjärtats hjärtanas

第五変化: 複数形無変化(主に子音で終わる中性名詞、および -are などの特定の接尾辞を持つ共性名詞)

単数 複数
不定形 (ett) horn (角) horn
定形 hornet hornen
所有格不定形 horns horns
所有格定形 hornets hornens
単数 複数
不定形 (en) bagare (パン職人) bagare
定形 bagaren bagarna
所有格不定形 bagares bagares
所有格定形 bagarens bagarnas

代名詞

スウェーデン語の代名詞人称によって変化する。名詞の格変化がほぼ失われているのに対し、代名詞では主格所有格目的格の3つの区別が明確に残っている点は英語に似ている。目的格は歴史的には与格形に由来する。[1] 二人称には親称duと敬称niの2つの語を持つ。 三人称には、主語が同一節内の目的語や所有者を指す場合に用いられる再帰代名詞(目的格 sig, 所有格 sin/sitt/sina)が存在する。

  • Han älskar sin fru. (彼は 彼自身の 妻を愛している)
  • Han älskar hans fru. (彼は (別の)彼の 妻を愛している)

三人称単数は人と人以外(性)で語形が異なるが、複数形は一種類になっている。

単数 複数
人称 主格 目的格 所有格 格・人称 主格 目的格 所有格
1単 jag (I) mig (me) min/mitt/mina1 (my) 1複 vi (we) oss (us) vår/vårt/våra1 (our)
2単親 du (thou) dig (thee) din/ditt/dina1 (thy) 2複、2単敬 ni (you) er (you) er/ert/era1 (your)
3単人男 han (he) honom (him) hans (his) 3複 de² (they) dem² (them) deras (their)
3単人女 hon (she) henne (her) hennes (her)
3単人(性中立) hen hen/henom hens
3単物共 den (it) den (it) dess (its)
3単物中 det (it) det (it) dess (its)
3単不定 man (one) en (one) ens (one's)
'(再帰)' - sig sin/sitt/sina1 (再帰) - sig sin/sitt/sina1

1これらの所有代名詞は形容詞と同様に所有されるものの一致して語尾変化する。その他の所有代名詞は所有されるものに影響を受けない属格代名詞である。

²de (they) とdem (them)は、口語では区別されず "dom" (/dɔm/)と発音されることが多く、インフォーマルな(くだけた)文脈では "dom" と表記されることもある。方言(特にフィンランドの方言)によってはこの二つはまだ区別があり、deは一般に/di/と発音される。 mig, dig, sigは/mɛj/, /dɛj/, /sɛj/と発音され、くだけたつづりとして、"mej", "dej", "sej"がある。

形容詞

形容詞は修飾する名詞の性・数・定不定によって語形を変える。


形容詞は、修飾する名詞が不定形か定形かによって、異なる語尾変化(強変化または弱変化)をとる。

強変化(不定形)

修飾する名詞が不定形(不定冠詞 en/ett を伴うか、無冠詞の複数形)の場合、形容詞は強変化をとる。名詞の性・数に応じて語尾が変化する。

  • (en) stor björn (単数・共性:語尾なし)
  • (ett) stort lodjur (単数・中性:語尾 -t)
  • stora björnar / lodjur (複数・両性共通:語尾 -a)

名詞が単数不定形で共性の場合は、原形のままであり、単数不定形で中性の場合は末尾に-tをつける。複数不定形の場合は、性に関係なく-aをつける。

単数 複数
共性 en stor björn, 大きなクマ stora björnar,
中性 ett stort lodjur, 大きなヤマネコ stora lodjur

標準語では、形容詞がärの補語になる場合にその形容詞は強変化を行う。方言ではärの補語になる場合このような語形変化がないところもある。

弱変化(定形・所有)

形容詞は、修飾する名詞が定形の場合、または所有代名詞(min, din など)や名詞の所有格(Kalles など)によって修飾される場合、弱変化をとる。

定形の場合(二重の定性)

名詞が定形(後置冠詞 -en, -et など)の場合、形容詞の前にさらに指示冠詞 den(共性単数), det(中性単数), de(複数)が置かれる。これは「二重の定性」と呼ばれる構文である。 形容詞の語尾は、名詞の性・数に関わらず一律で -a となる。

  • den stora björnen (単数・共性)
  • det stora lodjuret (単数・中性)
  • de stora björnarna (複数)

また、指示詞の här (ここ) や där (そこ) が形容詞的に名詞を修飾する場合も、同様の構造が用いられる。

  • den här flaskan (このビン)
  • det där brevet (その手紙)

所有の場合

所有代名詞(min, din など)や所有格(Peters など)が名詞の前に来る場合、名詞は後置冠詞を伴わない(例:min bil)が、形容詞は弱変化(-a 語尾)をとる。この場合、指示冠詞(den/det/de)は用いない。

  • min stora bil (私の大きな車)
  • Peters stora hus (ペーテルの大きな家)
  • mina stora björnar (私の大きなクマたち)
単数 複数
共性 den stora björnen, 大きなクマ de stora björnarna, 大きなクマ(複数)
中性 det stora lodjuret, 大きなヤマネコ de stora lodjuren, 大きなヤマネコ(複数)

例外として、修飾される名詞が(自然性が)男性の人間を指す場合、弱変化・単数形の形容詞語尾は -a の代わりに -e をとることがある。これはやや古風な、あるいは文語的な響きを持つ。

  • den store mannen (その偉大な男) (通常は den stora mannen)

比較級・最上級

規則変化

多くの形容詞は、語尾に -are をつけると比較級に、-(a)st をつけると最上級になる。

  • snabb (速い) - snabbare (より速い) - snabbast (最も速い)

最上級の形容詞が定形の用法(弱変化)で用いられる場合、語尾は -aste となる(例:den snabbaste bilen (その一番安い車))。最上級が叙述用法(補語)で用いられる場合は -ast のままである(例:Bilen är snabbast (その車が最も速い))。

不規則変化

一部の形容詞は、語幹の母音が変化(ウムラウト)したり、語幹自体が変わる不規則な比較変化を行う。

原級 比較級 最上級 意味
stor större störst 大きい
ung yngre yngst 若い
lång längre längst 長い
bra bättre bäst 良い
dålig sämre sämst 悪い
gammal äldre äldst 古い
liten mindre minst 小さい

数詞

基数

0~12までの基数は以下のようにいう。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
noll en/ett två tre fyra fem sex sju åtta nio tio elva tolv

数詞の1は修飾する名詞の性によって2つの形(en/ett)をとる。 不定冠詞のen/ettは数詞の1の文法化したものであり、数詞の1と不定冠詞は同じ語形変化をする。

13~19は以下のようにいう。

13 14 15 16 17 18 19
tretton fjorton femton sexton sjutton arton
(aderton)
nitton

adertonは標準語では古めかしい語形として、詩や公文書に用いられる。一方フィンランド方言をはじめ多くの方言では普通の形である。

20~100、また1000は以下のようにいう。

20 30 40 50 60 70 80 90 100 1000
tjugo trettio fyrtio femtio sextio sjuttio åttio nittio (ett) hundra (ett) tusen

20から90までの数が、下の数をともなうとき、末尾の-oを落とさず複合した形と、落として複合した形の2つがある。例えば32は trettiotvå としてもよいし、trettitvå としてもよい。

数詞はつづりと異なる不規則な読み方をするものがある。nio (9)とtio (10) とtjugo (20)の末尾の-oは、よく/-e/と読まれる。北部方言の一部では同じく /-u/,と読み、中部方言の一部では /-i/と読む。また口語ではtjugoが下の数と複合するとき-goを落とし、例えばtjugosju(27)は/tjusju/と読まれる。-ioで終わる数詞 (trettio, fyrtioなど) の末尾の-oはよく落として読まれる。fyrtio (40) のyは/ö/と読まれる。


hundra (100) とtusen (1000) はett(1)をつけてもよいし、つけなくてもよいが、他の数と複合するときは通常ettを必要とする。

4ケタ以上の数は以下のようにいう:

10000 tiotusen
100000 hundratusen
1000000 en miljon
10000000 tio miljoner
100000000 (ett) hundra miljoner
1000000000 en miljard (スウェーデン語ではlong scaleが用いられる。(例:miljard = 10億))

miljon,miljardなどの語は文法上は名詞として扱われ、複数形として-erをとる。

数詞が算用数字で書かれる場合には3ケタごとにスペースをあけて書く。


スウェーデン語では小数点としてコンマ "," (komma)を用い、"."は用いない。小数点以下のケタは、日本語と同様に数字を個別に読む。小数点以下のケタが2つだけの場合にはその部分を2ケタの数として読んでもよい。","は金額を表す数字の中では、ochと読み、たとえば3,50は tre och femtio, 7,88はsju och åttioåttaと読む。


序数

1から12は以下のようにいう:

1 2 3 4 5> 6 7 8 9 10 11 12
1:a 2:a 3:e 4:e 5:e 6:e 7:e 8:e 9:e 10:e 11:e 12:e
första andra tredje fjärde femte sjätte sjunde åttonde nionde tionde elfte tolfte

13から19までは、基数に-deをつける。(例:trettonde (13:e), fjortonde (14:e))

20,30,…90までは、基数に-ndeをつける (例:tjugonde (20:e), trettionde (30:e)

100と1000は基数に-deをつける。100はhundrade,1000はtusendeという。miljon(百万)は-teをつけてmiljonteという。

分数

分数は1/2を除いて、一般に「(分子の基数)+(分母の序数)-del/-delar」という形で表される。分数a/bの、分子aは基数によって表し、分母bは序数のうしろに「部分」を意味する名詞 del をつけた形(例:tredje + del → tredjedel)で表す。aが1の場合は単数形の-delを用い、aが1より大きい場合はbの-delを複数形にして-delarとする。序数が三音節以上でかつ-deで終わっている場合、それに-delがつくと口調の関係で序数の末尾の-deを落として発音することがある

12 en halv,
13 en tredjedel
34 tre fjärdedelar
25 två femtedelar
56 fem sjättedelar
47 fyra sjundedelar
18 en åttondel またはen åttondedel
89 åtta niondelar またはåtta niondedelar
110 en tiondel
111 en elftedel
112 en tolftedel
113 en trettondel
114 en fjortondel
115 en femtondel
116 en sextondel
117 en sjuttondel
118 en artondel
119 en nittondel
120 en tjugondel


動詞

印欧語では、一般に主語の人称と数によって動詞が形を変えるが、スウェーデン語では人称と数による語形変化がなくなって一種類になっている。 直説法接続法命令法の3つがあり、時制現在形過去形の2つの区別がある。分詞は現在分詞と過去分詞に加えて、過去分詞に由来するがそこから分かれて複合時制である完了形を作るときにだけ用いるようになった特殊な形があり、これを完了分詞(supinum)と呼ぶ。 直説法接続法命令法の3つがある。接続法は、vore(コピュラ動詞varaの接続法過去形、「~であれば」と条件を意味する場合に用いる)などの一部の表現を除き、現代の日常会話ではまれにしか用いられず、多くの場合、条件法や他の表現で代用される。 この他に、助動詞(hjälpverb)を用いて完了形(har + 完了分詞)や未来形(ska + 不定詞など)、条件法(skulle + 不定詞)などが作られる。他に動詞に-sをつけると受動を表す形(s-passiv)になる。

動詞の活用

スウェーデン語の動詞は大きく4つに分類することができる。

種類 現在形
1 規則動詞, -ar
2 規則動詞, -er
3 短い動詞 -r
4 強変化動詞・不規則動詞, -er/-r

おおよそ動詞の8割が第一変化に属し、新しくできた動詞、また英語の動詞をそのままスウェーデン語で使う場合(chatta,チャットする)などは第一変化による。

動詞の語幹は現在形から-rをとり除いたものと同じ形と見ることができる。(例:kallar → kalla-) 現在形が-erの場合は-erごととり除く。(例:stänger → stäng-) 命令形は常に語幹と同形になる。

第一変化動詞は語幹が-aで終わる動詞である。不定詞は語幹と同形である。現在形に-rをとり、過去形は-de、完了分詞は-t, 過去分詞は-d, -t,-deである。

第二変化動詞は語幹が子音で終わり、不定詞が-aで終わる。現在形に-erをとる。 第二変化動詞はさらに2種に下位分類され、2aと2bと呼ぶ。 2a の動詞は過去形が-deで過去分詞が-d,-t,-daとなる。2bの動詞は過去形が-teで過去分詞が-t, -t,-taとなる。過去形、過去分詞形の違いは動詞の語幹の末尾の子音が有声か無声かで決まり、有声のものは2aの、無声のものは2bの形をとる。

第三変化動詞は語幹が-a以外の母音で終わるものである。不定詞は語幹と同じ形であり、現在形は-rで終わる。 過去形の語尾は-dde, 完了分詞は-tt,過去分詞の語尾は -dd, -tt, -ddaである。

第四変化動詞は強変化動詞および不規則動詞である。日常的によく用いる動詞でこのグループに含まれるものは多い。過去形また過去分詞・完了分詞で語幹の強勢のある母音を変える。varaは完全に不規則であり、ほかの動詞と同じ語形変化をしない。

種類 語幹 命令形 不定詞 現在形 過去形 完了分詞 過去分詞
1 kalla- kalla! kalla - kallar -r kallade -de kallat -t kallad
kallat
kallade
-d
-t
-de
呼ぶ
2a stäng- stäng! stänga -a stänger -er stängde -de stängt -t stängd
stängt
stängda
-d
-t
-da
閉じる
2b läs- läs! läsa -a läser -er läste -te läst -t läst
läst
lästa
-t
-t
-ta
読む
3 sy- sy! sy - syr -r sydde -dde sytt -tt sydd
sytt
sydda
-dd
-tt
-dda
縫う
4 (strong) stryk- stryk! stryka -a stryker -er strök アプラウト strukit -it struken
struket
strukna
-en
-et
-na
打つ
4 (irregular) var- var! vara är var varit - ~である

強変化動詞は、時制によって、動詞の強勢を持つ母音を変える。英語やドイツ語と同様であり、英語やドイツ語で母音の変わる動詞は、スウェーデン語でも大体母音を変える。

完了分詞

スウェーデン語の動詞には、完了分詞と呼ばれる特殊な形態がある。これは主に助動詞 ha(有する)とともに完了形(現在完了、過去完了)を作るために用いられる。

  • 弱変化動詞(第1~3変化)では、完了分詞の形態は過去分詞の中性単数形と同じ(通常 -t で終わる)である。(例:kalla → kallat, stänga → stängt, sy → sytt)
  • 強変化動詞(第4変化)では、完了分詞は -it で終わる独自の形をとる。これは過去分詞の中性単数形(-et で終わる)とは区別される。(例:stryka → strukit (完了分詞) vs. struket (過去分詞中性))

この完了分詞 (-it) と過去分詞中性形 (-et) の区別は、標準語に特有のものであり、多くの方言では両者は混同される傾向がある。

受動形

スウェーデン語で受動を意味する語形は大きく4種類あり、それぞれニュアンスが異なる。

受動形の主な種類と用法
種類 形成方法 主な用法・ニュアンス 例文(Dörren målas. = ドアが塗られる)
s-passiv
(s受動態)
動詞の語尾に -s を加える。
(現在形の -(e)r は脱落)
動作そのもの(特に習慣的・一般的な動作)に力点がある。 Dörren målas (av Kalle).
(ドアが(カッレによって)塗られる。)
bli-passiv
(bli受動態)
助動詞 bli (~になる) + 過去分詞 事柄の変化(動作の瞬間・プロセス)に力点がある。 Dörren blir målad (av Kalle).
(ドアが(カッレによって)塗られた/塗られることになる。)
vara-passiv
(vara受動態)
助動詞 vara (コピュラ) + 過去分詞 動作の結果生じた「状態」に力点がある。 Dörren är målad.
(ドアは(すでに)塗ってある状態だ。)
få-passiv
(få受動態)
助動詞 (得る) + 過去分詞 主語がその動作を(意図せず)経験する、または(恩恵・被害として)受ける。 Han fick foten bruten. (彼は足を折られた)
Hon fick en klocka reparerad. (彼女は時計を修理してもらった)

接続法

動詞の接続法(Konjunktiv)は現在形と過去形がある。接続法現在形は現代語では固定した言いまわしとしてまれに聞かれる程度である。動詞に-eをつける。

不定詞 直説法 接続法
att tala, 語る talar tale
att bliva,~になる bli(ve)r blive
att skriva, 書く skriver skrive
att springa, 走る springer springe
att vara, コピュラ är vare

接続法過去形は現在形よりは用いられるものの、現代の標準語ではその使用は限定的であり、主に古風な表現、条件節(特に vore「~であれば」)、または特定の願望や非現実的な状況を示す文語的な文脈で見られる。

不定詞 直説法 接続法
att tala, 語る talade talade
att bli(va), ~になる blev bleve
att skriva, 書く skrev skreve
att springa, 走る sprang sprunge
att vara, コピュラ var vore

副詞

副詞は主に動詞、形容詞、または他の副詞を修飾する。 多くの副詞は、形容詞の中性単数形(通常 -t 語尾)と同じ形をとることで作られる。

  • Han kör en snabb bil. (彼は速い車を運転する) ← 形容詞 (snabb)
  • Han kör snabbt. (彼は速く運転する) ← 副詞 (snabbt)

方向・場所の副詞

スウェーデン語の場所に関する副詞の一部は、「~へ」(移動・方向)と「~で」(静止・場所)を形態的に区別する。これは英語の "in" や "up" が両方の意味を持つのと異なる点である。

  • Jag gick in i huset. (私は家の中入った。) [移動]
  • Jag var inne i huset. (私は家の中いた。) [静止]
方向 (~へ) 場所 (~で) 意味
in inne 中へ / 中で
ut ute 外へ / 外で
upp uppe 上へ / 上で
ner nere 下へ / 下で
hem hemma 家へ / 家で
bort borta あちらへ / あちらで (離れて)

統語

スウェーデン語の統語(語順)における最も重要な特徴は、V2語順(動詞第二位)の原則である。

V2語順(主節)

主節(平叙文および疑問詞疑問文)では、定動詞(活用した動詞)は必ず文の二番目の構成要素として置かれる。文頭(一番目の要素)には主語だけでなく、副詞(句)や目的語なども置くことができ、その場合、主語は動詞の後に倒置される。

  • Jag läser en bok nu. (私は今、本を読んでいる) - (主語が一番目:S-V-O-Adverbial)
  • Nu läser jag en bok. (今、私は本を読んでいる) - (副詞が一番目:Adverbial-V-S-O)
  • En bok läser jag nu. (本を、私は今読んでいる) - (目的語が一番目:O-V-S-Adverbial)

従属節の語順(非V2)

一方、従属節(接続詞 att, om, som などで導かれる節)では、V2語順は適用されず、主語が動詞の前に来る(SVO)順が基本となる。

主節と従属節の語順(文副詞の位置)

主節と従属節の語順における最大の違いは、文副詞(satsadverb、例:inte「~ない」、alltid「いつも」、kanske「たぶん」)の位置である。

  • 主節(V2)では、文副詞は定動詞のに置かれる。
  • 従属節では、文副詞は主語の直後、定動詞のに置かれる(通称「BIFF-regeln」)。

この違いは、以下の表で対比できる。

文副詞(inte)の位置の対比
例文 語順
主節 Han läser inte boken.
(彼はその本を読んでいない)
主語(S) - 動詞(V) - 文副詞(A) - 目的語(O)
従属節 Jag vet att han inte läser boken.
(私は、彼がその本を読んでいないことを知っている)
接続詞 - 主語(S) - 文副詞(A) - 動詞(V) - 目的語(O)

疑問文

疑問詞疑問文

疑問詞(Vem, Vad, Var, När など)が文頭に来て、V2語順に従う(動詞が二番目に来る)。

  • Vad läser du? (何を読んでいますか?)

極性疑問文

定動詞を文頭(主語の前)に置くことで作られる。

  • Läser du boken? (君はその本を読みますか?)

その他の特徴

  • 形容詞は、通常、修飾する名詞の前に置かれる。(den stora boken「その大きな本」)

脚注

  1. ^ Pettersson, 150-51

参考書籍

  • Holmes, Philip & Hinchliffe, Ian (1997) Swedish: An Essential Grammar Routledge: New York ISBN 0-415-16160-6
  • Pettersson, Gertrud (1996) Svenska språket under sjuhundra år: en historia om svenskan och dess utforskande Lund: Studentlitteratur ISBN 91-44-48221-3

外部リンク




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