シュトリヒ
ミル (角度)
(シュトリヒ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/11 22:39 UTC 版)
ミル (mil) | |
---|---|
記号 | mil |
系 | 非SI単位(メートル法系) |
量 | 角度 |
定義 | 1 ミリラジアン |
ミル (mil) は、主に軍事関係で使われる角度(平面角)の単位である。
日本では、この単位に密位の字を宛て「みりい(ミリイ)」と読んだ時期があった。また第二次世界大戦のドイツの戦車砲の照準器においてはシュトリヒ (Strich、線ないし目盛り線の意味) と呼ばれていた。
英語ではインチを表す単位表記の中に、“1000分の1インチ”を示す"mil"という単位をもつため、長さのmilとの区別のため、角度の単位の方を英語では「角度のミル」(angular mil) と呼ぶことがある。
概要
1ミルの元々の定義は弧度法で表現した1ミリラジアン (mrad) である。「ミル」という名称も、ミリ (mili) に由来するものである。この定義によれば、円周360度は2π
radであるので、1rad=360度/2π
となり、1ミルは360度/2000π
≒0.0573度となる。また、円周2π
radは2000πmrad≒6283ミルとなる。 sin(0.001rad) ≒ 0.001 であるため、1000*sin(0.001rad)≒1となり、1km (=1000m) 先の1m幅の物体を見るときの角度(視角)がほぼ1ミリラジアン (mrad) となって都合が良い。これが軍事用にミルが多用される理由である。
軍事の実務では、上記の6283に近い、切りの良い値で円周を等分した角度をもって1ミルとしている。NATO各国と日本の自衛隊では円周を6400等分した角度(360/6400 = 0.056 25°)を1ミルと定義している。旧ソ連とフィンランドでは6000分の1である。スウェーデンでは2006年までは6300分の1としていたが、2007年以降はNATOと同じ6400分の1を採用している。
これとは別に、1000ヤードの距離に対して1ヤードの高さが張る角度を1ミルとする定義もあり、歩兵ミル (infantry mil) と呼ばれる。歩兵ミルに対し、1ミリラジアンに由来するミルは砲兵ミル (Artillery mil) と呼ばれる。
ミルという呼称の他、パーミル(‰)を用いる場合もある。「半径に対する弧長の比」というラジアン本来の意味に立ち返ればパーミルの意味と合致するし、歩兵ミルと勾配におけるパーミルは同じである。
実用
多くの軍事用コンパスやスコープには、ミルの目盛りが刻まれている。三角比を利用した次のような公式から、測定した対象のミル角で、対象までの距離を簡単に計算することができる(見込む角が小さいので、θをラジアン単位に取ると、前述の通り sin θ ≒ θである)。
- 対象物の実際の幅または高さ (m) / 対象物までの距離 (km) = 対象のミル角
これを変形すると
- 対象物までの距離(km)=対象物の幅または高さ(m)/対象物のミル角
例えば、人間や戦車の大きさはある程度決まっているため、それらがどの程度のミル角に見えるかで、そこまでの距離も知ることができる。
参考文献
- 毛利元貞:著『新・傭兵マニュアル 完全版』(ISBN 978-4890630813) 並木書房:刊 1997年
- 富岡吉勝:監修、小林源文:劇画『ティーガー重戦車写真集 劇画 ティーガーフィーベル』(ISBN-13 978-4499226882) 大日本絵画:刊 1998年
- 小林源文:著 『武器と爆薬 悪魔のメカニズム図解』 (ISBN 9784499229340) 大日本絵画:刊 2007年
関連項目
外部リンク
- 双眼鏡愛好会 双眼鏡研究室 - 業務用双眼鏡の隠れ技 - ウェイバックマシン(2009年7月17日アーカイブ分)
シュトリヒ(ドイツ語:Strich)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 14:11 UTC 版)
「ガールズ&パンツァー」の記事における「シュトリヒ(ドイツ語:Strich)」の解説
ドイツ語で「筋」・「条線」を表す語で、ドイツ戦車砲の照準器で使用される角度を表す測距単位。第3話と第4話の台詞に登場する。作中に登場する戦車には射撃管制装置が搭載されていないため、敵との距離を砲手が計算して射撃する必要がある。円周の一周分を6,400等分した時の角度を指す。日本や欧米で用いられる「ミル」という単位と同一のもので、1シュトリヒ時は1000メートル先に1メートルのものがある場合に相当する。照準器内のマークは、中央に高さと幅が4シュトリヒの三角(△)、その両側水平に3つずつ並ぶ小さい三角(△)は2シュトリヒ、マークの間隔は1シュトリヒ。計算式は、距離[メートル]=目標の大きさ[メートル]÷シュトリヒ×1,000。高さ3メートルのM3が1,000[メートル]先にいる場合は3シュトリヒに見えるので照準は1,000[メートル]に合わせる。幅1[メートル]の目標が距離不明で2シュトリヒある場合、2シュトリヒは距離1,000[メートル]の時の2[メートル]相当の間隔なので、1÷2×1,000で距離は500[メートル]となる。基本的にIV号戦車とIII号突撃砲の見方は同じだが、レティクル(照準線)のデザインが異なる。
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