システム上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 21:52 UTC 版)
また、本来は通帳と印章、又はキャッシュカードと暗証番号、の2つを組み合わせなければ認証ができないところを、システムの不備で通帳のみ、あるいはキャッシュカードのみで認証が可能になるケースがある。更にはスキミングにより、認証に不可欠なキャッシュカードの複製が容易に行われ、キャッシュカードが手許にあるにもかかわらず預金者の知らないうちに払い戻されることもある。 副印鑑制度 特に、通帳に副印鑑が登録されている場合には、それ自体が認証に用いる情報そのものであるので、前述の通帳と印鑑を分けて不正出金を防止する手段が通用しない。副印鑑のついた通帳のみを入手すれば、そこから印影を偽造して預金を詐取することが可能となる。 初期のキャッシュカード 初期の磁気式キャッシュカードには、暗証番号そのものが磁気帯に記録されており(生暗証)、これを読み出すことで預金の詐取ができた。仮にキャッシュカードを窃盗されても暗証番号が知られなければ詐取を抑止するといわれていたところが、実際にはキャッシュカードのみで不正な払戻しが可能であった。 これについては危険性が認識され、暗証番号をセンターにのみ保存して取引の都度照会するようにシステムを改め、1976年半ばより発行されるカードについては当該部分をゼロ4桁(ゼロ暗証)とする対応が取られた。また、それまでのカードもATMに挿入すると当該部分にゼロ4桁を上書きするようにした。 スキミングによるカード偽造 磁気式キャッシュカードについては、磁気帯部分に記録された情報がすべて露出しており、スキミングでこれを読み取って、他の磁気カードに写すことが容易にできる。それゆえ、預金者本人の手元にキャッシュカードがあるにもかかわらず、複製されたキャッシュカードを用いて預金が詐取される。 上記のようなシステム上の問題点が指摘されてきたが、裁判でも通帳と印鑑照合による認証は本人確認手段として有効であるとの判断が相次ぎ、長く同じ手段が用いられてきた。2002年(平成14年)前後より、副印鑑をスキャンする印影偽造手法や、スキミングによる偽造キャッシュカード作出の手法が広く報道され、社会問題となり、副印鑑制度の廃止、偽造しにくいIC式キャッシュカードへの更新が進められている。なお、副印鑑制度を採ること、並びに磁気式キャッシュカードに生暗証を記録したシステムを構築したことについては、裁判では過失と扱われていない。
※この「システム上の問題」の解説は、「過誤払い」の解説の一部です。
「システム上の問題」を含む「過誤払い」の記事については、「過誤払い」の概要を参照ください。
- システム上の問題のページへのリンク