サブシステンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 22:53 UTC 版)
「イヴァン・イリイチ」の記事における「サブシステンス」の解説
サブシステンス (subsistence) とは、「シャドウ・ワーク」での訳者の玉野井芳郎の解説によると、「これはすでにイリイチ理論の先達ポランニーが重要視していた用語であり、市場経済、産業経済に対置されるキーワードであるが、これの含意する内容もかなり多義的である。地域の民衆が生活の自立・自存を確立するうえの物質的精神的基盤というほどの意味であると解される。それゆえこの言葉には『人間生活の自立・自存』といった訳語をひとまずあてておいた」とされている。またこの本のイリイチ自身の注では以下のように記載されている。「私はこの用語を使うべきだろうか。この言葉は数年前までは、英語では『サブシステンスの農業』という使い方によって独占されていた。これは辛うじて生存している数十億人の人々のことを意味した。開発当局はこの運命から彼らを救うべきものとしている。あるいはこの言葉は、一人の浮浪者がドヤ街でやっと生きてゆく最低限を意味した。また、最後には、賃金とも同一視された。これらの混乱をさけるために、『公的選択の三つの次元』のなかで、私は『ヴァナキュラー』という用語の使用を提唱した。これは商品というものの反対概念として…。(中略)私はヴァナキュラーな活動とヴァナキュラーな領域について話したい。にもかかわらず、ここでは私はこの表現をさけようとしている。なぜならこのエッセイだけで「ヴァナキュラーな価値」を読者に熟知させることを期待することはできないからだ。(しかし、この本の第二章を参照せよ。)使用価値を中心とする活動、非金銭的な取引、埋めこまれた経済活動、実体=実在的な経済学、これらはすべて、これまで試みられてきた用語である。私はこの論文では『サブシステンス』に固執する。たとえ経済活動が支払われようと支払われまいと、私は、形式的な通常の経済の意のままになっている活動にサブシステンス指向の活動を対置させようと思う。そして、経済活動の範囲内で、賃金と<シャドウ・ワーク>が照応するフォーマルな部分とインフォーマルな部分の区別をしようと思う」(pp.245-246)。
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