サタニズムと犯罪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 09:10 UTC 版)
「有神論的サタニズム」の記事における「サタニズムと犯罪」の解説
1980~1990年代の悪魔的儀式虐待に関するモラル・パニックは伝統的サタニズムが子供たちを儀式に捧げて悪魔崇拝の儀礼の一環として犯罪を行っているという信念を中心としていた。殺人、児童ポルノ、売春に関わっているサタニスト組織の大規模なネットワークが存在するとも主張された; 子供たちがソーシャルワーカーによる執拗な尋問を受けたのちにマクマーティン保育園裁判という象徴的な事件が始まったが、結果として児童性的虐待の主張が間違っていたことが明らかになった。サタニズムや儀式による虐待といった主張の証拠は何も見つからず、膨大な誤った起訴が行われただけに終わった。 ラヴェイ派の人々が集うウェブサイトFirst Church of Satanの創始者John Alleeは「暴力的過激派」のなかには「悪魔崇拝者」や「逆キリスト者」もいるとみなしている。おそらく彼らはある種の精神病を患っているのであろうとAlleeは考えている。1992年から1996年にかけて、ヴァルグ・ヴィーケネスらノルウェーのブラックメタルシーンに属する戦闘的ネオペイガニストがノルウェーのキリスト教に対する報復行為としてオスロ近郊の聖堂・教会堂に対する放火を行ったが、こうした行為はサタニズムによるものと広く受けとられた。 宗教的・儀式的犯罪を行った者の神学思想に着目した犯罪研究も存在する。自分の犯した犯罪がサタニズムに基づくものだと主張する犯罪者は「偽サタニスト」だと社会学者たちによって主張されており、サタニズムを犯罪と結びつけようとするのはデマゴギーだと有神論的サタニストからみなされてきた。1980~1990年代には子供や同意していない成人に対する性的虐待が行われているという告発が多数起こり、サタニック・パニックとして知られるようになった。アメリカ合衆国ではカーン郡の児童虐待事件、マクマーティン保育園裁判、そしてウェスト・メンフィス3事件が広く報道された。ミネソタ州ジョーダンで起こった事件では子供たちが児童ポルノ製造、動物祭儀、食糞、飲尿、子殺しを行ったと主張し、殺人が起こった段階でFBIが通報を受けた。24人の成人が逮捕されて性的虐待・児童ポルノ・その他の罪で告訴され、サタニズムの儀式と関係があると主張された; 捕まった者のうち3人に対して公判が行われ、二人は無罪となり、一人は有罪となった。最高裁判事のScaliaは裁判記録において「性的虐待がジョーダンで起こったのは間違いない; しかし広く知れ渡ったようなことを信じる根拠はない」と指摘しており、捜査官によって用いられた強制的な手法は捜査を損なうものだと繰り返した。
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