コロナ対策から閉館へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 03:02 UTC 版)
「宇都宮グランドホテル」の記事における「コロナ対策から閉館へ」の解説
他のホテルと同様、宇都宮グランドホテルに新型コロナウイルス感染症の流行の影響が出始めたのは2020年(令和2年)3月のことであった。宴会需要が収入の8割を占める宇都宮グランドホテルでは、歓送迎会や各種総会が集中する3月から6月にすべての予約がキャンセルとなり、売り上げが例年の半分以下に落ち込み、大きな打撃を受けた。それでも同年のゴールデンウィークに3日間限定で「グランドバーグ&チキンライス弁当」を販売して売り上げを全額宇都宮市に寄付したり、宇都宮ウエディング協議会の会員として新上三川病院に自社製のイタリアンハンバーグ弁当100人分を届けたりする慈善活動を実施した。同年7月に110台の空気清浄機を購入して全宴会場(10室)と全客室(58室)に配備し、感染防止対策を採った。また新しい生活様式に則った形でビアガーデンの営業を7月1日より開始し、コロナウイルス感染症の影響で公演できなくなっていたポップサーカスの特別公演をビアガーデン会場で開催した。昼間の会合は7月より戻り始めたものの、夜開催の会合はほぼ0の状態が続いた。 2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけての年末年始は、忘年会や賀詞交歓会、成人式が軒並み中止となった影響で、売り上げは例年の2割に落ち込んだ。1月18日から2月28日まで、人の流れを止めてコロナウイルス感染症の拡大を防ぐという名目で営業を休止した。感染状況によっては休止期間の延長も辞さないとしていたが、3月1日に予定通り営業再開し、デラックスツインを10泊5万円で提供する特別なプランを1か月限定で販売した。またスーパーマーケットのオータニの協力を得て、ホテルの中華料理4品(エビのチリソースなど)と洋食3品(ポークカレーなど)をオータニで販売開始した。 以上のような新たな収益源の確保のほか、人員整理を実施することで収支改善を図り、5月17日より予約者に限定した営業に移行した。当初は7月1日より通常営業を再開する予定であったが、業績回復の見通しは立たず、6月25日に7月31日付で閉館することを発表した。ホテルの閉館発表は急な出来事であり、ホテルを利用していた人々からは驚きや残念との声が上がった。中学校区ごとに成人式を挙行する宇都宮市では、陽西中学校・宮の原中学校・瑞穂野中学校の3校の学区が、2021年(令和3年)・2022年(令和4年)の成人式を宇都宮グランドホテルで挙行予定であった。ホテルの閉館決定を受け、3中学校区の式場はユウケイ武道館などに変更となった。 閉館決定後、8月1日以降に予約していた人には順次断りの連絡を行った。アルバイトを含む約50人の従業員は7月31日付の整理解雇通知を受けた。そして7月31日に閉館した。閉館決定を発表した時点ではホテルの閉館後も、企業としては存続するとしていたが、2021年(令和3年)8月20日に、宇都宮地方裁判所より破産手続開始の決定を受けた。負債額は10億8千万円であった。
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