コックピットクルーの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 13:39 UTC 版)
「旅客機のコックピット」の記事における「コックピットクルーの役割」の解説
操縦士による座る席の指定はないが、機長が左席、副操縦士が右席に着席するのが一般的となっている。これは、船舶は必ず左舷で接岸することになっていることから、船長の席が常に見通しの良いブリッジの左寄りにあった時代の名残りである。但し、副操縦士が機長昇格訓練を・機長が機種限定証明審査を受ける場合は着席位置が逆転し、指導・審査を行う機長(訓練教官、審査官)が右席、受審機長や副操縦士が左席に着席する。コックピットクルーの服装は法律などで定められた制服で、両の肩章についている金色の線の数が機長のほうが副操縦士よりも多い。一般的には4本線が機長で3本線なら副操縦士となる。 それぞれの職種が廃止される以前の5人乗務での役割分担は、機長が操縦と指揮、副操縦士が速度、高度、方位などの操作を行ない、航空通信士が通信、航空機関士がエンジンや飛行システム関係の操作を行い、航空士が航法を担当していたが、2人乗務体制では、機長と副操縦士のうち、いずれか1人が機体の操縦にあたり(PF:Pilot Flying)、もう1人が通信とその他の操作などのモニター業務(Pilot Monitoring)を行なっている。操縦は2人の内のいずれかが行うが、最終的な意志決定は責任者である機長に権限がある。 長い時間飛行する長距離路線では、3-4人が乗務して常に2人が数時間毎の交代勤務制を採っている。このような場合、機長資格保持者は2名以上乗務していることになるが、その便の本来の機長をPIC(pilot-in-command、航行指揮官)、PICが休憩中に機長業務を行う者をSIC(second-in-command、副指揮官)とすることで指揮系統の一本化が図られている。またその機におけるコックピットクルーではないが、たまたま移動中で操縦資格を有する操縦士が客室に乗っていることがあり、こうした乗員はデッドヘッド(Dead Head、回送の意)と呼ばれる。操縦操作と視界確保の必要性から操縦席は正副2人の座席が寄せられ操縦室の最前部に位置するが、大型機では比較的室内の後方に余裕があり、操縦席の背後には多くの場合、3人目の固定式予備席や折り畳み式のジャンプシートが設けられている。研修中の操縦士などがこのジャンプシートに着席する。
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