ケベコワの象徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 03:56 UTC 版)
「モーリス・リシャール」の記事における「ケベコワの象徴」の解説
作家ロッシュ・カリエール (Roch Carrier) はその著した童話Le chandail de hockey(英文タイトル"The Hockey Sweater"、ISBN 0-88776-169-0)のなかで、リシャールにケベコワの象徴としての役割を与えており、カナダの各世代間に分け隔てなくリシャールの伝説を伝える一助となっている。 この童話は、ケベック人の主人公の少年が、当時の若者達の「必須アイテム」であるリシャールのホッケー・セーター(赤、白、青で背番号9)を母親にねだってトロントに本拠を置く「Mr.Eaton's(イートン社)」のカタログショッピングでこれを注文する。ところがあろうことか、母親が英語を書けなかったためか何かの手違いでリシャールの所属するカナディアンズの宿敵であるトロント・メープルリーフスのセーターが送られていくる。親子は、イートン社を傷つけることを嫌って商品の取替えを行わなかった。少年は、メープルリーフスのジャージーを着用した故にクラスメートから馬鹿にされ、あまつさえ村八分の目にあってしまうというものである。 この話には、イギリス系とフランス系の両カナダ人の微妙な関係を示す寓意(カナディアンズ対メープルリーフス=フランス系対イギリス系)が込められており、リシャールはフランス系カナダ人を象徴する存在として位置づけられている。 なお、ロッシュ・カリエールのこの作品に題材をとった図案は、文章の冒頭部の引用とともにカナダの5ドル紙幣に採用されている。(Canadian five-dollar bill、当該紙幣には、少年が背番号9を付けてアイスホッケーに興じる姿が描かれる。) リシャールは、1960年代カナダにおけるいわゆる「静かな革命(Quiet Revolution、ケベック州の経済成長等を背景とした公共機関の改変)」前において、特にフランス系カナダ人からは英語文化圏を打破した英雄として祭り上げられることが多い。例えば、1983年にモントリオールの地方紙が行った世論調査、「20世紀の偉人」ではリシャールは第2位となっている。 一方、彼は自らのことを単にアイスホッケーを愛する一選手であって、政治などには無関心な男であると語っている。
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